コモンのギモン(25)「住民同意と施設許可のリンケージ」

「住民同意と施設許可のリンケージ」

非常勤顧問 北村喜宣

 産業廃棄物処理施設は、裁判所によっても、「嫌忌施設」とまで表現されています(福岡高宮崎支判令和2年1月31日)。とりわけ最終処分場の立地となると、地元コミュニティーとの軋轢は避けられません。議員を巻き込んで政治化することも、少なからずあります。
 

 施設設置は許可制ですから、申請されれば審査をして判断をしなければなりません。たとえば、暴力団関係者が役員にいるとなれば、確実に不許可にできますから、申請されても怖くはありません。


 行政にとって問題になるのは、申請されれば許可せざるをえない案件です。しかし、地元は大反対。どうすればよいでしょうか。


 そこで用いられるのが、「地元同意」です。行政指導によることがほとんどですが、廃棄物処理法の許可要件にリンクさせる条例もあります。「高槻市産業廃棄物処理施設の設置に係る手続の特例に関する条例」がそれです。この条例は、廃棄物処理法のもとで産業廃棄物処理施設設置許可権限を持つ高槻市(中核市)が制定した、同法の法律実施条例です。


 この条例のもとでは、敷地境界線からの水平距離500メートル以内の区域内にある自治会の代表者の5分の4以上(10自治会なら8人以上の代表者)の同意書が、廃棄物処理法15条にもとづく許可申請にあたっての添付図書となります。それなき申請は、同意取得ができない正当な理由がないかぎり、15条の2第1項4号(7条5項4号チ)にいう「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当するというのです。


 住民の意見を踏まえた行政が求められるのは、いうまでもありません。その一方で、高槻市長には、廃棄物処理法を的確に実施する義務があります。自治会の同意が取れないような業者は、不正・不誠実なことをする可能性がかなり高いのでしょうか。施設予定地は事業者のものであり自治会のものではないにもかかわらず、自治会にその利用に関する拒否権を認めるような仕組みは適法なのでしょうか。「同意を得ないことにつき正当な理由があるとき」は別というのですが、その内容は不明です。


 廃棄物処理法15条の仕組みが地元意見の反映にとって不十分というのは、関係者の常識です。しかし、だからといって地元同意を絶対的拒否基準として使うのは、違法というほかありません。

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