コモンのギモン(26)「国の事務とするロジック」
「国の事務とするロジック」
非常勤顧問 北村喜宣
国会は、法律のなかで、国の事務を定めることもできますし、自治体の事務を定めることもできます。国の事務だけを定める法律を国事務完結型法律というなら、自治体の事務が定められている法律は、自治体事務並存型法律といえます。
多くの環境法は、後者です。そこでは、都道府県や市町村の事務が定められ、長に権限が与えられています。前者はあまりありません。
それでは、ある事務を国の事務にするロジックとはどのようなものでしょうか。「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(再資源化事業高度化法)に関する環境省職員の解説に、ヒントが隠されているように感じました。この法律は、数少ない国事務完結型環境法です。そこには、「地方公共団体」「都道府県」「市町村」という文言は規定されていますが、許可や立入検査といった具体的な権限は、すべて国が行うことになっています。
この解説は、環境省環境再生・資源循環局長の角倉一郎さんによるものです。「再資源化事業等の高度化の推進」は、同法の中心的内容です。具体的内容として、高度分離・回収事業計画の認定があります。これは、環境大臣がすることになっています。国の事務です。
なぜ都道府県知事ではないのかですが、角倉さんは、「このような技術の高度化については、一部の先進的な取組を除いて現状では進んでいないため、……当該技術の行動化の内容の妥当性を判断することは容易ではない。」とします。
「再資源化工程高度化計画」の認定も環境大臣が担当しますが、その理由は、「廃棄物処理施設への先進的で高性能の設備導入は国内に事例が少なく、……その妥当性を判断することは容易ではないことから、一律の基準を策定して地方公共団体に委ねることも必ずしも容易ではない」からです。
これらの整理からは、都道府県でも判断できるような一般性のある事務となってはじめて都道府県の事務とするという方針がうかがえます。再資源化事業高度化法のもとでの事例が蓄積され、国でなくても判断できるようになれば、将来、都道府県の事務となるのでしょう。それにしても、国の技術力はそれほどにすごいのかと、感心しました。
