コモンのギモン(28)「我が省の敵!?」

「我が省の敵!?」

非常勤顧問 北村喜宣

 多種多様な活動をする行政は、膨大な量の資料を収集・作成・保管しています。行政文書を市民が入手できるのは、行政の恩恵でしょうか。それとも、市民の権利でしょうか。

 現在では、それは、市民が保持する「知る権利」を実現する手段として情報公開制度があるからだと説明されています。国レベルでは、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(行政情報公開法)がありますし、自治体レベル、たとえば、東京都には、東京都情報公開条例があります。

 行政情報公開法1条は、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」が法目的であると規定します。情報公開条例についても同様です。

 行政活動に対する国民の理解を深めようとすれば、政府は広報を積極的にすればよいといえます。しかし、それでは、自分の都合のいい情報しか提供されないでしょう。「批判」という文言は、重たいです。それを受け、説明責任を果たしてはじめて、公正で民主的な行政が実現できるのです。

 その前提として、適切に行政文書が作成されていなければなりません。この点について、「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)4条は、行政に対して、「行政機関における経緯を含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事務の実績を合理的に後付け、又は検証することができるよう……文書を作成しなければならない。」と規定します。事後的検証を受けるためには、しっかりと文書作成をするのが大前提になっていることがわかります。

 皆さんは、情報公開請求のご経験はおありですか。私は、「事後的検証」という高邁な目的ではなく、研究資料を入手したいという下世話な動機で、国や自治体に対して、開示請求をすることがよくあります。

 行政情報公開法や公文書管理法の制度趣旨に鑑みれば、市民の権利行使に対して、行政は誠実に対応しなければなりません。ところが、職員に話を聞くと、「ただでさえ忙しいのに、請求に係る文書を倉庫から探し出してきて、開示できない部分に黒塗りをしてという作業は苦痛以外の何者でもない。請求などしないでほしい。」という声が出てきます。「請求者は、我が省の敵だ。」という認識も、間接的に耳にしました。

 タテマエとホンネ。なかなか難しいですね。どうやら私は、行政にとって、「あっち側の人」になっているようです。

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