INDUST2026年3月号に「2026年1月1日施行 廃棄物処理法改正 対応できていますか?契約書の記載事項の追加」が掲載されました。
全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
INDUST2026年3月号に「2026年1月1日施行 廃棄物処理法改正 対応できていますか?契約書の記載事項の追加」が掲載されました。
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1 はじめに
2025年4月22日の廃棄物処理法施行規則の改正により、2026年1月1日から、産業廃棄物処理委託契約書の記載事項が追加されました。すなわち、同改正により、「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(以下、「化管法」、または「PRTR法」といいます。)に規定される「第一種指定化学物質」が、廃棄物処理委託契約書に含まれる事項に追加変更されました。
この改正の背景には、廃棄物処理現場における化学物質を原因とする事故の発生、不適正処理の発生があります。特に、排出事業者から十分な情報提供がなされないまま処理業者が受託し、現場で予期せぬ化学反応が起きるケースが問題視されてきました。
本改正は、排出事業者に対して化学物質情報の提供を義務付けることで、処理業者が安全に処理を行える環境を整備し、事故を未然に防ぐとともに、適正処理の実現を図ったものです。
2026年1月1日施行なので、すでに対応されている事業者の方も多いと思いますが、すでに対応されている事業者の方はご確認のため、まだ対応されていない事業者の方には今後の対応のご参考になれば幸いです。
2 改正の具体的内容
⑴ 条文の構造
産業廃棄物処理委託契約を行うにあたっては、書面を作成することが義務付けられ、かつ契約書に記載しなければならない事項(必要的法定記載事項)が法定されていますが(法第12条第6項、令第6条の2第4号)、当該必要的法定記載事項として、今回、化管法の第一種指定化学物質を取り扱う事業者はその旨を契約書に記載しなければならないことが規定されました
❶ 委託者が「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(=化管法)に規定する第一種指定化学物質等取扱事業者である場合であって、かつ、
❷ 委託する産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれ、又は付着している場合には、
→ ❸ その旨並びに当該産業廃棄物に含まれ、又は付着している当該物質の名称及び量又は割合(を記載しなければならない)
⑵ 第8条の4の2第6号ヘが定めていること
ア 委託者が化管法に規定する第一種指定化学物質等取扱事業者であること
第一種指定化学物質とは、人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に継続して広く存在する(暴露可能性がある)と認められる計515物質のことをいいます。
化管法に規定する「第一種指定化学物質等取扱事業者」とは、以下の者をいいます。
(ア) 化管法第2条第5項第1号、または第2号に該当する者であること
第1号に該当する者とは、第一種指定化学物質を製造し、または、第一種指定化学物質を含有する製品を使用し、または、業として取り扱う者です。第2号に該当する者とは、第1号に掲げる者以外の者であって、事業活動に伴って付随的に第一種指定化学物質を生成させ、または排出することが見込まれる者です。
排出事業者は自身が第1号または第2号に該当しないか自身が取り扱う第一種指定化学物質について再度確認する必要があるでしょう。
(イ)委託者が、化管法第2条第1号または第2号に該当する者のうち、政令第3条で定める業種に属する事業を営むものであって、当該事業者による第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で定める要件に該当すること
すなわち、当該年度において第一種指定化学物質の質量を1t以上、または特定第一種指定化学物質については、質量を0.5t以上排出する事業場を有していることです。
さらに、常時使用する従業員の数が21人以上であることが必要です。
イ 委託する産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれ、または付着していること
ウ アおよびイの要件を満たす場合には、産業廃棄物処理委託契約書に第一種指定化学物質が含まれていること等を記載すること
排出事業者がアおよびイの要件を満たす場合には、産業廃棄物処理委託契約書に、第一種指定化学物質が含まれていること、当該産業廃棄物に含まれ、または付着している物質の名称および量または割合を記載しなければならないこととなっています。
3 罰則、行政処分
産業廃棄物処理委託契約書を作成しなかった場合、または同契約書の必要的法定記載事項に不備があった場合、委託基準違反となり3年以下の拘禁(令和7年改正前の「懲役」)または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
今回、第一種指定化学物質に関する情報が契約書の必要的記載事項とされたことによって、該当する排出事業者がこれらの事項を記載していない場合、罰則が科される可能性があります(廃棄物処理法第26条第1号)。
また、委託基準違反として、行政処分の対象となる可能性[古1.11.2]もあります
4 契約書の改定時期
第一種指定化学物質に関する情報が産業廃棄物処理委託契約書の必要的記載事項とされましたが、2026年1月1日から直ちに契約書を改訂しないと違法になるわけではありません。
法は、移行措置として、当該契約の更新時に改訂すればよいとしています(改正付則:委託契約に含まれるべき事項に関する経過措置第2条)。自動更新の契約書に関しては、契約の有効期間満了時に自動更新されるものであるので、契約の有効期間を確認し、あらたな契約期間に至る前に契約書を改訂すべきでしょう。
本稿ではさらに詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。
