コモンのギモン(27)「意味ないわけではないけれど」
「意味ないわけではないけれど」
非常勤顧問 北村喜宣
以前に、廃棄物処理法が規定する欠格事由のひとつとしての「暴力団条項」についてお話をしたことがありました(コモンのギモン(6))。根拠は14条5項2号ロです。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者」とされています。
そのときには、廃棄物処理法に暴力団条項が規定されるに至った経緯や運用における曖昧さを指摘しました。おそらくは、警察庁が大きく関与して誕生したのだけれども、上記要件に該当するかどうかの情報は都道府県警察が独占的に保持しており、その正確性は保証のかぎりではない、という趣旨のコラムでした。
もう少し踏み込んで考えてみましょう。この暴力団条項が効果を発揮し、暴力団員の参入をブロックできるのは、どのような場面でしょうか。
おそらくは、自分自身は「足を洗って5年経過した」と考えている元暴力団員ご本人が、「カタギの仕事」としての産業廃棄物処理業をしようとして14条許可の申請をする場合でしょう。法人申請において、役員として参加するのでもかまいません。
本人は「そうでない」と思っています。しかし、警察は「そうである」と考えていれば、暴力団条項該当性を理由に申請は拒否されます。
それでは、本人が「そうである」と思っていればどうなるでしょうか。そのままに申請すれば、行政から警察への照会の結果、「該当あり」と回答されるのは明白です。不許可処分は、火を見るより明らかですから、そんな人が正面突破しようとするはずがありません。
そうであれば、「ダミーを使おう」と考えるはずです。その場合、審査をする行政は、ダミーさんの向こう側にいる本人を確知できるでしょうか。警察もそこまでは把握していないでしょうから、ダミーさんについては「該当なし」。許可はされます。
ダミーさんを介して本人が営業に影響力を与えれば、14条5項2号ヘ「暴力団員等がその事業活動を支配する者」に該当します。環境省のガイドライン『行政処分の指針』にもそうあります。しかし、許可申請時にそうであるということまでを見極めるのは無理でしょう。
暴力団条項の趣旨は、十分に理解できます。しかし、的確な実施は、なかなかに困難なのです。
