相続放棄を生前に行うことができるか

江東区の法律相談員をやっています。
月に一回程度の割合で行うのですが、そこで、
相続放棄は被相続人(相続の対象となる人)の生前に行うことができるか
というご相談をいただきました。

回答は、相続放棄は生前には行うことができません。

形式的な理由としては、そのような手続きが定められていない、
ということであり、
実質的な理由としては、以下の理由が考えられます。

1 相続が発生するまでは相続分が決まらない。
相続は、被相続人の死亡と同時に発生しますが(民法882条)
相続が発生しないと相続分も発生しません。
相続分が発生しないうちから放棄をすることはできないので、
生前に相続放棄をすることはできないことになります。

2 生前に相続放棄をする必要性がない。
相続放棄は、自身のために相続が開始したことを知った時
(=自身が相続人となったことを知った時)から3カ月以内に
行う必要がありますが(民法915条1項)、
相続放棄を行いたい場合には、死後に放棄をすれば足りるため
生前放棄という制度が認められていないことになります。

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