INDUST2025年11月号に「再資源化事業等高度化法の全面施行を11月に控えて」が掲載されました
全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2025年11月号に「再資源化事業等高度化法の全面施行を11月に控えて」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/new/
昨年5月に制定された再資源化事業等高度化法(正式名称「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」)がいよいよ11月に全面施行されます。現時点における同法の全体像を明らかにしつつ、施行を待ちたいと思います。
再資源化事業等高度化法の制定の経緯
⑴ 再資源化事業等高度化法を一言で
本法は、高度な再資源化事業として環境省の認定を得られれば、廃棄物処理法上の許可なく再資源化事業(収集運搬・中間処理)を行うことができる制度です。目的は循環経済社会の構築と温室効果ガスの排出削減にあります。
⑵再資源化事業等高度化法の制定の趣旨とは
2024年5月の制定当初は資源循環業界から歓迎されましたが、現在は警戒感も広がっています。認定対象が資源循環業者に限定されていないため、大資本を持つ動脈産業の企業が参入し、中小企業中心の資源循環業界が競争に敗れる懸念があるためです。
⑶「循環経済を国家戦略に」とその背景
2025年7月30日の閣議決定で「循環経済を国家戦略に」することが明確化され、本法が単なる業界支援を超えた、国家的な資源循環政策の一環であることが明らかになりました。従来の「線形経済(大量生産→大量消費→大量廃棄)」から「循環経済」への転換を図り、天然資源の枯渇、気候変動、環境汚染といった問題に対応しようとしています。
⑷資源循環業界にとっての再資源化事業等高度化法の活かし方
本法は中小業者にとっても大きなメリットがあります。環境省の認定により都道府県ごとの許可が不要となり、廃棄物処理法上の二当事者間契約の原則も適用されないため、複数の排出事業者と複数の処理業者がネットワークを組んで事業を展開できます。また、令和7年度は関連補助金として100億円が概算要求されており、設備投資面での支援も期待できます。
再資源化事業等高度化法の認定の対象
⑴高度再資源化事業
製品製造という需要に応じた質と量の再生材を供給するため、特定廃棄物を広域的に収集し、質の高い再資源化を実施する事業です。従来のリサイクルが廃棄物処理の結果としての再生素材利用にとどまっていたのに対し、製品製造の原料として使える再生材の製造を目指しています。
⑵高度分離・回収事業
廃棄物から高度な技術を用いて有用物質を分離・回収する事業です。温室効果ガスの排出削減効果があることが要件とされています。最先端技術による再資源化は国内事例が少なく、施設審査に時間がかかるため、国が迅速に認定し知見を蓄積・波及させることで資源循環を促進します。
⑶再資源化工程の高度化(再資源化工程高度化事業)
廃棄物処理施設への先進的な高性能設備導入により、再資源化工程を効率化し、温室効果ガス削減を図る事業です。国の認定を通じて設備導入を促進し、脱炭素と資源循環を加速させます。
製造業者と資源循環業者のマッチングを図るため、一定規模以上(前年度処分量が1万トン以上、または廃プラスチック類1,500トン以上)の処分業者を「特定産業廃棄物処分業者」とし、処分数量と再資源化数量を環境大臣に報告する義務を課しています。ただし、競争上の地位が害されるおそれがある場合は、割合での公表を請求できます。
本法は、天然資源に依存しない国内資源循環システムの構築を目指す野心的な制度であり、中小資源循環業者にとっては、ネットワーク構築と政府支援を活用しながら、大資本との競争に対応していくことが鍵となります。
本稿ではさらに詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。
