「専ら物」に廃棄物処理委託契約書はいらない?(「専ら物」に関する留意点)
顧問会社様からこのようなご質問をいただきました。
「『専ら物』に廃棄物処理委託契約書は必要なのでしょうか❓」と。
そこで、今回は、「専ら物」に関してよくいただくご質問、
留意点をまとめてみようと思います。
(「専ら物」に関する令和5年2月3日通知については
「専ら物」に関する令和5年2月3日通知 | 廃棄物処理法とともに50年 | 弁護士法人 芝田総合法律事務所 (shibatalaw-ginza.jp))
「専ら物」は廃棄物
まず、「専ら物」は廃棄物です。
ただ、廃棄物処理法(廃掃法)上の特例として、
廃棄物処理業の許可が不要とされたものにすぎません。
許可を不要とする以外は、通常の廃棄物と同様に取り扱われます。
マニフェストの交付の要否
「専ら物」が一般廃棄物の場合、マニフェストの交付は不要です。
一般廃棄物には、マニフェストの交付は不要とされています。
産業廃棄物については、原則として
マニフェストの交付が必要とされていますが、
廃棄物処理法施行規則第8条の19第3号は、
以下の場合にはマニフェストの交付を不要としています。
条文の定め方からすれば、
「専ら…行う者(「専ら物」のみを扱う業者)に委託する場合」に限って
マニフェストを不要としていると解する余地もあります
(「専ら…行う者に委託する場合以外はマニフェストが必要」)。
従来の「専ら物」に関する狭義説(※)の立場からすれば
そのような結論になるかと思われます。
(※「専ら4品目」以外の廃棄物を取り扱う事業者については、
「専ら4品目」についても廃棄物処理法上の許可を要するとする立場。
詳細は、「『専ら物』に関する令和5年2月3日通知」
「専ら物」に関する令和5年2月3日通知 | 廃棄物処理法とともに50年 | 弁護士法人 芝田総合法律事務所 (shibatalaw-ginza.jp))
もっとも、本通知は「専ら物」以外の産業廃棄物を扱っている事業者についても
「同様であり」としていることから、マニフェストについても不要
とする取扱いであると考えられます。
産業廃棄物処理委託契約書の作成と許可証の添付
「専ら物」が一般廃棄物の場合、
廃棄物処理委託契約書の作成は法律上作成義務はありません。
一方、産業廃棄物である「専ら物」については、
廃棄物処理委託契約書の作成が必要です。
また、廃棄物処理委託契約書の作成にあたっては、
許可証の添付が必要とされています(規則第8条の4)。
この点に関して、「専ら物」については、許可が不要とされるのに、
許可証の添付が必要なのかと疑問が生じるかもしれません。
とくに、「専ら物」のみを取り扱っている事業者については、
許可を受ける必要がないのであるから、許可証がない、
という状況が考えられます。
この場合、「専ら物」のみを取り扱っている事業者については、
契約書を作成したうえで、許可を受けていないことを
契約書に記載しておけば足りると考えます。
これに対して、「専ら物」以外の廃棄物も取り扱っている事業者については、
「専ら物」以外については許可を受けているので、
許可証を添付することになりますが、
その場合、その事業者の許可状況を表すものとして、
契約書に許可証を添付するものと解することができます。