役員が暴行罪で会社の許可が取り消される?(欠格要件シリーズ③)

廃棄物処理会社の役員が暴行罪で有罪判決を受け、
罰金刑以上の判決を受けると、会社も欠格要件に該当することとなり
会社の許可が取り消されます。

刑罰としての「罰金刑」とは「罰金1万円以上」です(刑法15条)。
ですので、「罰金1万円」とする判決が出ると、会社の許可が取り消されます。

これは重大なことです。

そして、役員には会社法上の役員だけでなく、
「業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」、すなわち、
「相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、
法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又は
これらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者」
(いわゆる「みなし役員」)を含みますから、
「役員」の幅は非常に広くなります。

※ 役員と「同等の支配力を有するものと認められる者」には、
 会社の株式を5%以上保有する株主も含まれます
(いわゆる「5%以上保有株主」)。

そして、「役員が暴行罪で有罪」ときくと、
うちにはそんな乱暴な役員はいないから大丈夫、と思われるかもしれません。
が果たして大丈夫でしょうか。

就業時間後の居酒屋でケンカ

たとえば、以下のような事例を考えてみましょう。


 「支店長」は会社法上の「役員」ではありませんが、
「みなし役員」として廃棄物処理法上は役員として扱われます。
 役員が暴行罪で懲役以上の判決を受ければ欠格要件に該当し、
役員が欠格要件に該当すれば会社も欠格要件に該当します
(法14条5項2号イ→7条5項4号ホ)。

事例のポイント

この事例のポイントは、
★ 支店長は、「経営に対して役員と同等の支配力を有する者」
 として「みなし役員」に該当しうる。
★ 就業時間以外の犯罪でも欠格要件に該当する。
★ 暴行罪は罰金刑以上で役員の欠格要件に該当
★ 役員が欠格要件に該当した場合、会社も欠格要件に該当する。
です。

役員が欠格要件に該当するおそれが生じた場合の対策等については
専門的な判断が必要になりますので、ご相談ください。

欠格要件に対する対策

ふだんから、会社としては、役員に対して、
何が廃棄物処理法上の欠格要件に該当するのか、
欠格要件に該当するおそれが生じた場合、ただちに
会社に報告し、対策を講じる必要性があること等、
よく教育しておく必要があります。

また、会社としても、役員に対して目配りが行き届くよう
役員の数は可能な限り減らしておくことが欠格要件対策としては
望ましいといえます。

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