「関東ミキシングコンクリート事件」と総合判断説
「関東ミキシングコンクリート事件」とは、
関東ミキシングコンクリート社(K社)が売買契約の下、
「販売」し「出荷」していた「再生土」が、「再生土」とは認めらえれず
「出荷」ではなく無許可業者(A社)への「廃棄物」の処理委託であると
認定された事件です。
本件で問題となった「再生土」は、
廃棄物該当性の判断基準である「総合判断説」により
「排出の状況」、
「通常の取扱い形態」、
「取引価値の有無」、
「占有者の意思」
の点から「廃棄物」であると認定されました。
K社は、1㎥あたり450円で本件「再生土」を
A社に販売していたものですが、同時に、
A社に対して1㎥あたり3,450円の輸送費を支払っていました。
つまり、K社は、売買契約という有償契約に基づいて
A社に再生土を販売しているにもかかわらず、
利益を得るのではなく、お金を支払っていることになります。
この点が、まず、「逆有償」(有償契約を締結しているにもかかわらず
逆に費用を支出している状態)であるとして問題視されました
(「取引価値の有無」にダウト!)。
そして、契約の実態を見ていくと、
K社は建設汚泥の中間処理を行う工程で発生する「再生土」を
「出荷」する必要があり(需要に基づいて出荷するのではない
→「排出の状況」にダウト!)、
また、本件「再生土」を購入しているのはA社はK社のグループ会社であり、
他に本件「再生土」を購入している会社はありませんでした。
つまり、本件「再生土」について市場が形成されているとは
いい難い状況にありました
(→「通常の取扱い形態」にダウト!)。
翻って見ると、K社は、中間処理の過程で発生してしまう本件「再生土」を
1㎥3,000円の負担をしてグループ会社のA社に引き取らせている、ということは
「占有者(K社)の意思」としても「販売」の意思があるとは認めにくく、
グループ会社に1㎥あたり3,000円の処理費用を支払って
引き取らせているものであり、
本件「再生土」は、実体としては「廃棄物」である、という認定を受けました。
この結果、K社は許可取消処分を受けました。
廃棄物処理法に基づく行政処分について(平成30年12月17日)/千葉県 (chiba.lg.jp)