コモンのギモン(2)「『等』について」

「『等』について」
非常勤顧問 北村喜宣
法律の条文をみていると、「等(とう)」という文字が多用されているのに気がつきます。広辞苑〔第7版〕を調べると、この文字には、「②複数を表し、また、同類の他を省略するのに用いる語。」という説明があります。
「等」の前に置かれている言葉が「主役」なのはもちろんです。「顔出し」をしないのですから、「等」としてひとくくりにされ省略されている内容の重要性は低いことになります。
この点で、以前から気になっているのは、「廃棄物等」です。この4文字を正面から定義するのは、循環型社会形成推進基本法(循環基本法)2条です。その2号は、「一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品(現に使用されているものを除く。)又は製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給、土木建築に関する工事、農畜産物の生産その他の人の活動に伴い副次的に得られた物品(前号に掲げる物を除く。)」と規定します。「前号に掲げる物」とは、廃棄物処理法2条1項に定義される「廃棄物」です。「等」の内容を具体的に規定されるのは、この一例のみです。
日本の廃棄物・リサイクル法制は、それを目がけて製造をしたもの以外を副産物と把握し、これを一旦は不要物とみなしたうえで、できるかぎり循環させるべく「廃棄物から抜いていく法政策」をとってきました。しかし、これからは、副産物であっても、さらには使用済のものであってもこれを「資源」と捉えたうえで、どうしても循環できないものを廃棄物とするような発想の転換が必要です。
そうなると、「廃棄物等」というのは、いささか時代遅れの表現になります。「X(トランスフォーメーション=抜本的変革)」の時代です。そこで、「循環資源等」と把握して、「等」に廃棄物を含めるのが適切ではないでしょうか。主客逆転の時期が来ているように感じます。