INDUST11月号に「成年後見制度と欠格要件」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2019年11月号に「成年後見制度と欠格要件」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/1898812/
令和元年6月に、成年後見の宣告を受けた者について各種の法律により資格や地位が失われている制度が原則として削除されるとする一括法が参院本会議で成立しました。今回は、欠格要件に該当する事由が一つ減ることとなる改正をご紹介したいと思います。
成年後見制度は、高齢などで判断能力が不十分な成年者を保護するため、裁判所が後見人を選任し、財産管理などを支援する制度です。
これまで成年被後見人は欠格要件に該当していました。また、法人の役員が成年被後見人になると、法人も欠格要件に該当し許可を失うという不合理な制度でありました。この点が改正され、今後は役員が成年被後見人になっても法人が欠格要件に該当することはなくなりました。
しかし、廃棄物処理法上の欠格要件にはまだ課題が残ります。
⑴ 反社会的勢力が会社の5%以上株式を保有するに至った場合
現行の欠格要件制度では、法人の役員だけでなく「実質的支配力を有する者」も対象とされ、5%以上の株式保有者はそれに該当すると解釈されています。これは反社会的勢力がフロント企業を通じて廃棄物処理業に関わることを防ぐ目的の規定です。しかし、上場企業の場合、株式取得は市場原理に任されており、会社は5%以上の株主をコントロールできません。そのため、反社会的勢力が5%以上の株式を取得した場合でも、会社自身が50%以上の株式を保有していれば経営権は守られるため、単に5%以上の株式保有だけで欠格要件に該当するとするのは適切ではありません。
⑵ 役員の破産と欠格要件
現行法では役員が破産宣告を受けると、その役員と所属する会社も欠格要件に該当します。しかし、成年後見の場合と同様に、破産した役員のみを排除すれば十分であり、会社自体を欠格要件に該当させる必要はありません。
本稿ではより詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。