INDUST8月号に「プラスチック資源循環促進法が成立しました」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2021年8月号に「プラスチック資源循環促進法が成立しました」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2146830/
建設アスベスト訴訟とは、アスベスト含有建材を用いて建設作業に従事していた元建設作業員らが、適切な規制権限を行使しなかった国及びアスベスト含有建材を製造・販売した建材メーカーを相手に賠償を求める訴訟類型をいいます。その建設アスベスト訴訟において、令和3年5月17日、初めて国の賠償責と建設メーカーの責任を認める最高裁判決が出されましたので、今回は、この令和3年5月17日最高裁判決をご紹介したいと思います。
1 アスベストとは?
アスベストは、耐火性、耐熱性、防音性、耐摩耗性に優れ、しかも安価であることから、高度経済成長期には「夢の素材」といわれ、様々な工業製品、建材製品に利用されてきました。繊維が非常に細かく、1本の繊維は、髪の毛の5000分の1程度であるとされています。このことから、飛散により空気中に浮遊し、吸引しやすいという性質があります。
2 アスベストの問題性
アスベストには、吸入すると、肺がん、中皮腫 等の深刻な健康被害を引き起こす危険性があり、潜伏期間が長く(10年〜50年)、「静かな時限爆弾」といわれます。社会においてアスベストの問題が深刻なものとして共有されたのは遅く、その間、とくに高度経済成長期には建材として多くのアスベストが利用され、また、解体野現場などでも吸引に対する予防策が適正に行われないままとなっていました。建設アスベスト訴訟の問題性もそこにあるといえます。
3 クボタショック
社会で、アスベストの有害性が注目されるきっかけとなった事件として「クボタショック」があります。 クボタショックとは、2005年6月29日、毎日新聞が兵庫県尼崎市の大手機械メーカー・クボタの旧神崎工場の周辺住民にアスベスト疾患が発生していると報道したことを契機として、社会的にアスベスト健康被害が注目され、社会問題化されるに至った現象のことをいいます。
4 石綿に関する法規制
石綿の製品に対する使用は、平成24年(2012年)には、全面的に禁止されましたが、それまでの間、石綿に関する規制はどのように行われていたのでしょうか。本稿では表を作成して、規制の変遷を解説していきます。
5 令和3年5月17日最高裁判決
⑴ 事案の概要
本件は、それら法規制下において長期にわたり石綿ばく露を受けてきた大工らが、国及び建材メーカー数社を相手として提起した訴訟です。
大工らは、国に対しては、石綿が中皮腫、肺がん等の重篤な健康被害を引き起こすことを認識しながら不適切な規制を行ったことをもって違法であるとして国家賠償を請求しました。建材メーカー数社に対しては、建材が石綿を含有するものであり、石綿が重篤な健康被害を引き起こすことを製品に表示すべき義務があったのにもかかわらずそれを怠った結果、その建材を使用した大工らに重篤な健康被害を引き起こしたとして損害賠償を請求しました。
⑵ 判例の要旨
ア 国の責任
「労働大臣は,(昭和50年)10月1日には,安衛法に基づく規 制権限を行使して,通達を発出するなどして,…石綿含有建材から生ずる粉じんを吸入すると石綿肺,肺がん,中皮腫等の重篤な石綿関連疾患を発症する危険があること並びに石綿含有建材の切断等の石綿粉じんを発散させる作業及びその周囲における作業をする際には必ず適切な防じんマスクを着用する必要があることを示すように指導監督するとともに,…事業者に対し,…各作業に労働者を従事させる場合に呼吸用保護具を使用させることを義務付けるべきであったのであり,…労働大臣が安衛法に基づく上記の各権限を行使しなかったことは,…安衛法の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,著しく合理性を欠くものであって,国家賠償法1条1項の適用上違法であるというべきである。」
イ 建材メーカーの責任
被告となった建材メーカー3社は、「民法719条1項後段の類推適用により,中皮腫にり患した本件被災大工らの各損害の3分の1について,連帯して損害賠償責任を負うと解するのが相当である。」
本稿ではこれらの判決について解説していきます。
是非ご覧ください。