INDUST2月号に「既存地下工作物の取扱いに関するガイドライン」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2021年2月号に「既存地下工作物の取扱いに関するガイドライン」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2076335/

施設をつくろうとして工事を行っていたところ、土中に以前の建設物のものと思われる基礎杭が発見されました。このようなとき、見なかったことにして埋め戻すと不法投棄に当たる可能性があるといわれることがあります。このような場合どうすればいいのでしょうか。このような場合の「既存地下工作物の取扱いに関するガイドライン」が2020年2月に出されました。

1 「不法投棄に当たるとされる可能性がある」とは
土中に地下工作物を「埋め殺す」際には、その時点でその「地下工作物」は廃棄物であるというのです。そうすると、その廃棄物を土中に埋めることは、不法投棄となる可能性が出てきます。

2 「不法投棄」とは
不法投棄とは「みだりに廃棄物を捨てること」をいいます(法第16条)。

⑴ 「みだりに」とは
「みだりに」とは、「社会通念上許されない方法で」と解することはできます。

⑵ 「廃棄物」とは
ある物が廃棄物に当たるかどうかは、「総合判断説」によって判断することとされています。「総合判断説」とは、廃棄物に該当するか否かを、(ア)その物の性状、(イ)排出の状況、(ウ)通常の取扱形態、(エ)取引価値の有無及び(オ)占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべき」とする考え方です。

⑶ 「捨てる」とは
「捨てる」とは、「廃棄物を最終的に占有者の手から離して自然に還元すること」ないし「管理権を放棄すること」とされています。

3 既存地下工作物の廃棄物該当性
本ガイドライン策定にあたって全国の自治体に調査を行った結果、既存地下工作物を「撤去することによって周辺環境や周辺建物に悪影響を及ぼす場合」、地下工作物が「有用性」があると認められる場合があり、その場合は、不法投棄としては扱わないという運用をしているとのことです。
「撤去することによって周辺環境や周辺建物に悪影響を及ぼす場合」としては以下のような場合が挙げられています。
・ 地盤の変位はゆるみによる隣接構造物や道路への影響
・ 撤去時の道路使用や歩行者通行・埋設管への影響
・ 山留め等としての仮設での利用
・ 新築工作物の一部として本設での有効利用・ 土壌汚染の拡散防止・ 近隣河川の水質汚濁・井戸枯れ

4 地下工作物を存知する場合の留意事項
・ 石綿含有建材やPCB使用機器などの有害物はすべて撤去すること。
・ 存置の対象となるのは、コンクリート構造体等の有害物を含まない安定した性状のものに限られること。
・ 存置する場合は、対象物の図面や記録等を作成し、設計図書とともに発注者及び土地所有者が保存することが必要であること。併せて他の関係者(設計者、施工会社等)も保存することが望ましいこと。
・ 存置に関する関係者間での打ち合わせ等のやり取りを記録として残すことで、意思決定の過程を明確にすること。
・ 発注者及び土地所有者は、設計者又は施工会社より提出された記録を、存置物を撤去するまでの期間保持すること。また、存置物の存在は土地売買契約時の重要事項であることから、土地所有者は土地売却時には相手方に説明するとともに、図面等の記録を引き渡すこと。
・ 万一、存置した後から生活環境保全上の支障が判明した場合には、行政から撤去命令が出される可能性も考えられるため、存置可能かどうかの判断は慎重に行うこと。

いずれにせよ、上記判断基準等に留意しながら、行政と丁寧に打ち合わせを行い、打ち合わせや判断の過程を記録しておくことが後の紛争防止、あるいは安全のために重要です。

本稿では廃棄物該当性についてより詳しく解説していきます。

ぜひご覧ください。

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