コモンのギモン(24)「テナントの廃棄物処理」
「テナントの廃棄物処理」
非常勤顧問 北村喜宣
「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」(3条1項)。原因者処理責任が、廃棄物処理の大原則です。
この原則の適用が曖昧になっているのが、ビルのテナントです。読者の皆さんのオフィスもそうですね。
テナントして入っている事業者からは、産業廃棄物と事業系一般廃棄物が発生します。その処理責任は、当該事業者にあるのは明白です。それでは、その事業者が、産業廃棄物処理業者や一般廃棄物処理業者と個別に契約を締結するのでしょうか。産業廃棄物の場合にはマニフェストを交付するのでしょうか。廃棄物処理法の条文からは、そうとしか読めません。
ところが、そうした原則を貫くと、不都合が発生します。ビルの敷地内にテナントごとに保管施設を設けることは、スペースの関係で、現実には不可能でしょう。また、収集のたびにテナントの従業員が保管場所まで降りていってマニフェストを交付するというのは、きわめて煩雑です。
そこで、マニフェストについては、「産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)」(2011年3月17日環廃産発第110317001号)によって、「管理票の交付については、例えば……ビルの管理者等が当該ビルの賃借人の産業廃棄物の集荷場所を提供する場合……であって、当該産業廃棄物が適正に回収・処理されるシステムが確立している場合には、事業者の依頼を受けて、当該集荷場所の提供者が自らの名義において管理票の交付等の事務を行っても差し支えないこと。なお、この場合においても、処理責任は個々の事業者にあり、産業廃棄物の処理に係る委託契約は、事業者の名義において別途行わなければならないこと。」とされています。
事業系一般廃棄物については、東京二十三区清掃協議会『一般廃棄物処理業の手引』(2025年3月)が、「契約は、テナントごとに処理業者と直接結ぶのが原則です。 ただし、複数のテナントが入居する貸しビルなどの場合で、やむを得ずビル管理会社が契約者となりうる場合があります。」としています。産廃の場合より、契約の相手方が緩やかに解されています。
現実はどうでしょうか。産廃でも事業系一廃でも、「ビル管理会社が契約者」になっている場合が多いようにもみえます。
