実はよくある?!「廃棄物の横流し」①

「廃棄物の横流し」とは、
廃棄物の処理を委託された廃棄物処理業者が、または、
当該廃棄物処理業者の従業員が、処理を委託された廃棄物を
処理をせずに転売してしまうことをいいます。

廃棄物の横流しとして有名になったのは
「ココイチビーフカツ横流し事件」です。
問題となった廃棄物処理業者の名称から「ダイコー事件」と呼ばれたり
ココイチが処理委託したビーフカツという食品廃棄物が問題となったことから
「食品廃棄物横流し事件」と呼ばれたりします)。
(以下では、「ダイコー事件」と呼びます)

闇から闇へ?

ダイコー事件が発覚した際、「廃棄物の横流し」ということがあるのかと
社会的に非常な驚きをもって受け止められたように思います。

とくにダイコー事件は、食品廃棄物が横流しの対象になっていたことから
「食の安全」という視点からも大変注目された事件でした。

もっとも、実は、「廃棄物の横流し」自体は珍しいことではありません。
むしろ、「よくある」といっても過言ではないかもしれません。

でも、そんなニュースあまり見ませんよ、と思われるかもしれません。
が、それには関係者の思惑もあり、
そもそもあまり表に出てきにくい種類の事件なのです。

たとえば、どのような廃棄物が横流しの対象となるかというと、
・ 型落ちした精密機器類(パソコン、カメラ等)、
・ 昨年販売された洋服など
製品としては新品であり(中古の場合もあります)、
十分市場価値があるものの、販売側としてはそれらの商品を市場で販売すると
新商品が売れない、あるいは、値崩れしてしまう、
などの理由により廃棄の対象となった物などです。

販売側としては、上記のような理由から、「もう市場には出さない」
という判断で廃棄物処理業者に廃棄を委託します。

ところが、市場価値が十分付く物が、廃棄物処理業者の倉庫いっぱいに
処理待ちの状態で保管されていたとします。

それは、見方を変えれば「宝の山」であるともいえ、
非常に誘惑の強いものであるともいえます。

そして、誘惑に負けて持ち出し、ネットで販売されていることが
発覚する事例がしばしば…。

もっとも、その場合、ニュース等になれば企業や製品の
レピュテーションリスクになりかねません。

廃棄物処理業者にしてみれば、何らかの廃掃法違反とな
行政処分の対象にもなりかねない、と思えば、
やはり伏せておきたい事実です。

というわけで、廃棄を依頼した排出事業者にとっても
廃棄物処理業者にとっても事件は伏せておきたい、
ということになり表に出てきにくいのがこのテの事件です。

とはいえ、処理されるはずだった廃棄物が処理されずに
ネット等に流出した場合、法的責任を追及されるのは
処理業者の側なので、排出事業者と処理業者との間では
金銭的な賠償を行って落着とするのが一般的です。

「実はよくある?!『廃棄物の横流し』②」へ
・問題となり得る処理業者の法的責任
・廃棄物の横流しを防ぐために


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