実はよくある?!「廃棄物の横流し」②

処理業者が廃棄物の横流しを行った場合

⑴ 詐欺罪

では、処理業者側の法的責任としてはどのような責任が考えられるでしょうか。
処理業者側の横流しが常態化していて、
横流しする予定で処理委託を受けていた場合、
排出事業者に対する詐欺罪が成立する可能性があります。

すなわち、「横流しをする予定であることを秘して、
適正に処理をすると偽り、処理費用を受け取る」ことが
詐欺行為であり、詐欺罪(刑法246条)が成立します。

ダイコー事件においても、ダイコーの社長について
詐欺罪(懲役3年執行猶予4年)の成立が認められました。

⑵ マニフェスト虚偽記載罪

次に、処理業者にマニフェスト虚偽記載罪が成立する可能性があります。
すなわち、「横流しをしている」というわけですから、
処理をしていないわけですが、「処理が完了した」として
マニフェストに記載することがマニフェスト虚偽記載罪となります。

具体的には、マニフェストC1票の「処分終了年月日」の欄に、
処分終了日を記載することがマニフェスト虚偽記載罪となります
(廃棄物処理法/廃掃法第27条の2第4号)。

ダイコー事件では、電子マニフェストによる虚偽報告罪が問われました。

従業員が横流しを行った場合

⑴ 従業員は窃盗罪

従業員が会社(処理業者)の保管場所から廃棄物を持ち出す行為は、
従業員について会社に対する窃盗罪(刑法235条)を構成します。

⑵ 処理業者は排出事業者に対する債務不履行

また、従業員が廃棄物処理業者の保管場所から廃棄物を持ち出し、
横流しをした場合、処理業者の排出事業者に対する債務不履行責任
(民法415条第1項)が問われる可能性があります。

すなわち、処理の委託を受けた処理業者としては、
適切に処理することはもちろんですが、処理するまで
適切に保管し、持ち出し等が行われないようにすることも
委託を受けた債務の内容と考えられるため、
保管の方法に問題があった場合には、排出事業者に対する
債務不履行責任(損害賠償責任)が問題となるのです。

⑶ 取引の打切り

さらには、大切な取引が打ち切られる可能性もあります。

従業員による「廃棄物の横流し」を防ぐために

では、従業員による廃棄物の横流しを防ぐためには
どうすればよいでしょうか。

⑴ 従業員教育

まず、従業員に対する教育が必要です。
廃棄物の持出しは犯罪であることを教育する必要があります。

そして、従業員による廃棄物の持出しが行われた場合、
会社が排出事業者に対して債務不履行責任を負い、
それによる損害賠償の額は多額なものになる可能性があることを
教育しておくことが必要です。

⑵ 処理フローの見直し

転売の対象となることがないように、
引き受けた段階で破壊しておくなどが考えられます。

⑶ 設備対策

保管場所は鍵がかかるようになっていますか❓
鍵の保管・管理は適切にできていますか❓

監視カメラなどを従業員の目に入るように設置しておくことも
持出しをしようとする意識を持たないようにする効果があります。

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