INDUST10月号に「民法改正と廃棄物処理業に対する影響について」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2020年10月号に「民法改正と廃棄物処理業に対する影響について」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2031968/
2017年(平成29年)に民法改正が行われ、2020年(令和2年)4月から施行されています。今回の改正は廃掃法上の契約にどのような影響があるのか、また契約書作成にあたってどのような点に留意すべきかについて解説していきます。
民法改正の内容と留意点
⑴ 保証人の保護に関する改正
① 極度額の定めのない個人の根保証契約は無効
② 公証人による保証意思確認の手続を新設
廃棄物処理委託契約書の記載事項などについては影響を与えるものではありません。もっとも、従業員を採用しようとするにあたり身元保証契約を締結しようとしたり、会社の債務について役員以外の者に保証を求めようとする場合には、注意が必要になります。
⑵ 約款を用いた取引に関する改正
① 定型約款が契約の内容となる要件
② 定型約款の変更の要件
廃棄物処理委託契約書の記載事項などについては影響を与える改正内容はありません。もっとも、近時、廃棄物処理委託約款を会社で定めておいて顧客との契約締結に利用する場面が見受けられます。このような場合には、定型約款に関する規定の趣旨に反しないものとすることが必要になります。
⑶ 法定利率に関する改正
廃棄物処理委託契約書の記載事項などについては影響を与える改正内容はありません。もっとも、仮に契約書に遅延損害金の定めがない場合には、遅延損害金の利率は、遅延損害金が発生した時点における法定利率が適用されることになります(改正民法第404条第3項〜第5項)。これを避けるためには、一定の固定利率をベースとする遅延損害金の規定を設けておく必要があります。
⑷ 消滅時効に関する改正
廃棄物処理委託契約書の記載事項などについては影響を与えるものではありません。また、業務に関する債権であれば(売掛請求、請負代金(=廃棄物処理費用)支払請求権等)、商事時効が適用され時効期間は5年間されていたため、今回の改正によっても実務上、大きな影響はないと思われます。
本稿では、それぞれの改正内容についてより詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。