INDUST2月号に「人手不足と廃棄物処理法」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2020年2月号に「人手不足と廃棄物処理法」が掲載されました。
今回は資源循環協会における人手不足対策とそれにまつわる固有の論点について検討してみたいと思います。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/1932581/
人材確保はどこの会社でも重要な課題です。社員としての確保が難しい場合は、アルバイト、パートタイマ―、人材派遣等に頼らざるを得ません。社員以外の人材を業務に利用するにあたって、一番に気になるのは、再委託の禁止(法第14条第16項)との関係です。再委託禁止義務に違反した場合、違反した当事者は3年以下の懲役股は300万円以下の罰金を受ける可能性があり、これが会社の業務として行われた場合には、会社も300万円以下の罰金を受ける可能性があります。
アルバイト、パートタイマー
アルバイト、パートタイマーを利用することは廃棄物処理法上の問題はありません。通常の雇用契約(社員の採用)と同様に考えることができます。
人材派遣
廃棄物処理法第14条第16項にいう「他人に委託する」場合の「他人」とは責任主体が異なる者といいかえることができると思われます。下請に出す場合、下請けを委託する先は、他の会社であったり、個人事業主であったりしますが、会社や個人事業主は別の委託を受けた会社とは異なる法主体であり、異なる法人格を有します。そして、それぞれ独立した法人として法律上の責任を負っています。
排出事業者から廃棄物処理委託を受けた廃棄物処理会社は派遣社員に対して指揮命令権を有しており、派遣社員は派遣先の会社の指揮命令権に従わなければなりませんから、その意味で、排出事業者から廃棄物の処理委託を受けた会社は、派遣社員に廃棄物の処理を行わせる場合であっても、廃棄物処理責任を負ったままであるということができます。
したがって、派遣社員に廃棄物処理を行わせることは法第14条第16項で禁じる「他人に委託」することには当たらず、適法に行うことができます。
出向
出向には、出向元の会社に籍を残したまま出向する在籍出向と、出向元の会社に籍を残さない転籍出向の二種類がありますが、いずれも出向先の会社と労働者が雇用契約を締結し、労働者は出向先の会社の指揮命令監督権に服します。したがって、転籍出向、在籍出向いずれの場合でも、出向社員に出向先会社が委託を受けた廃棄物処理業務を行わせることは適法です。
本稿ではそれぞれの項目についてより詳しく解説していきます。
ぜひご覧ください。