INDUST2月号に「共犯者の証言の信用性」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2024年2月号に「共犯者の証言の信用性」が掲載されました。
https://www.zensanpairen.or.jp/books/indust/21442/

本稿では令和5年に出された判決で共犯者の証言を扱った興味深い判決をご紹介します。

被告人は被告会社の元代表取締役です。
Aは被告会社のスキー場やキャンプ場等の運営を行う事業である「長野リゾート事業」の責任者としてaスキー場のgロッジの解体を行いましたが、解体廃材をaスキー場の敷地内で燃やして埋めました。gロッジの解体と不法投棄、解体廃材の焼却はAの指示のもとDが行いました。
その後、Aはeスキー場に隣接するh店の解体を被告人から指示され、h店の解体廃材についても敷地内で燃やして埋めるようにDに指示しました。しかし村役場から焼却をしないよう指導を受けるなどしたため、いずれ焼却して投棄する目的でaスキー場の駐車場にh店の廃材を野積みし、一部焼却しました。そんな中、本件を告発する告発文が長野県資源循環推進課等に届きました。
AおよびDは警察の取調べに対し、当初はAの判断で行ったことであると供述していましたが、途中から被告人の関与を供述し始めたため、被告人は不法焼却を被疑事実として逮捕され、被告会社の代表取締役を辞任しました。

争点は、被告人の関与を供述するAとDの証言の信用性です。被告人とAおよびDは、AおよびDの供述を前提とすれば共犯の関係にあります。

供述の要旨
ア Aの供述
(ア)gロッジの解体について
被告人から燃やして埋めるよう指示された。
(イ)h店の解体について
被告人から、燃やして埋めるよう指示された。
(ウ)警察から捜査を受けて
被告人に報告したところ、会社で生活は面倒を見てやると言われ、当初は被告人の関与を供述していなかった。しかし1年近く捜査を受け、自分が話さない限り捜査が終わらないと思い、途中から被告人の関与を供述するようになった。
イ Dの供述
(ア)gロッジの解体について
作業を始めてから二、三日後にはごみが溜まり、Aに処分方法を尋ねると、Aから燃やしちゃおうかと言われた。
(イ)h店の解体について
Aからh店の解体廃材を燃やして埋めるように言われた際、大丈夫かと確認した。Aから被告人の指示なので大丈夫だと言われた。
(ウ)警察の捜査を受けて
罰金になったら全額被告人側で払うと言われたので、被告人の関与については話さなかった。
しかし警察は全部知っているんだなと思って被告人の関与を供述した。
ウ 被告人の供述
(ア)gロッジの解体について
不法投棄を指示したことはない。
(イ)h店の解体について
不法投棄を指示したことはない。
日報でh店の現場で焼却が行われていることを知った。Aに大丈夫かと聞くと、管轄の村消防署に事前に許可を得ているので大丈夫だと言われた。同月21日のメールで村長からも焼却処分の許可を得るようAに指示したと送ったのは、d村の了解も得た方がよいと思ったからである。
調べた結果、キャンプファイヤーであれば問題ないということであったので、廃木材をaスキー場に運搬し、キャンプファイヤーの燃料にするという話になった。

裁判所は各供述の信用性をどのように判断したのでしょうか。これら判断について考察していきます。

是非ご覧ください。

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