INDUST4月号に「関東ミキシングコンクリート事件 ~逆有償再考~」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2019年4月号に「関東ミキシングコンクリート事件 ~逆有償再考~」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/1804925/
平成30年(2018年)12月17日、マザーズ上場会社であるエンバイオホールディングス(エンバイオHD)の子会社である株式会社関東ミキシングコンクリートに対して、千葉県は産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業の許可の取消処分を行いました。エンバイオHDの株価は事件を受けてストップ安まで急落。同社は、平成30年12月18日の時点で、千葉県による許可取消処分に対して「行政不服審査法に基づく処分の取消しの審査請求を申し立てるとともに、処分の執行停止を求める予定」と報じられました。
事件の概要
関東ミキシングコンクリートは、汚泥処理後物(自社では「再生土」と主張)を有限会社コウシュンに1㎥当たり450円で「販売」していました。一方で1㎥当たり3,450円の輸送費をB社に支払っており、実質的には廃棄物の処分を委託しているとされました。千葉県は、これを「逆有償」による廃棄物処理の委託と判断し、無許可業者への委託として許可取消処分を行いました。
「逆有償」とは、売買代金として受け取った金額以上を何らかの名目で相手方に支払うことをいいます。有償取引の形式を取りながら実質的には対価的均衡が取れていない取引 廃棄物を有価物と仮装し廃棄物処理法の適用を免れる脱法行為として行われることがあります。
この「汚泥の処理後物」といわれ、また「再生土」と主張されるものが「廃棄物」に当たるのか否か、廃棄物の該当性が問題となります。ある物が廃棄物に当たるかどうかは、現在、判例及び「行政処分の指針」から、「総合判断説」によって判断されるとされています。「総合判断説」とは、「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべき」とする考え方です。
本件「汚泥の処理後物」(再生土)が廃棄物かどうかを総合判断説によって検討してみます。
物の性状:再生土としての品質は備えていた
排出の状況:利用される工事が確定せず、B社の保管場に約7,000㎥堆積 通常の取扱形態:市場は形成されていない
取引価値:1㎥当たり3,000円の持ち出しで経済合理性なし
占有者の意思:利用計画なく大量排出は「処分」の意思と判断される
これらを総合的に判断すると、本件「再生土」は廃棄物に該当すると認められます。
エンバイオHDは当初不服審査請求を予定していましたが、その後の社内調査で「処分先での利用状況の確認が不十分だった」と認め、許可取消処分を受け入れる方針に転換しました。廃棄物のリサイクルは重要ですが、リサイクル先が確保されず滞留する再生品は廃棄物とみなされる可能性が高いことに注意が必要です。
本稿ではより詳しく解説していきます。
ぜひご覧ください。