INDUST7月号に「電子契約は果たして安全か」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2020年7月号に「電子契約は果たして安全か」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/1996112/

コロナ禍における外出自粛要請が出されるなか、契約書等にハンコを押すために出社を余儀なくされる者がいる、などの背景により、「電子契約」があらためて注目されています。そんな中、日本経済新聞に『クラウド上の契約に法的リスク』と題する記事が掲載されました。概要としては、現在多くの電子契約締結サービスで提供されている「立会人型」と呼ばれるシステムにおいては、電子署名の本人確認性が担保されず、契約の成立に疑問が呈される可能性がある、というものです。

通常の紙の契約書の場合、「契約書」の末尾、又は「契約書」の文頭に、当事者名欄があります。そして、押印がなされるのが通常です。そして、「契約書」は「本人」が作成することによって有効に成立しますが、契約書を見ただけでは、真実そこに記載された主体が作成したかどうかは分かりません。この意味で、「契約書の有効性」と「署名又は押印の本人性」は分けて考えることができるのです。
「電子契約」の有効性とは、仮に真実「本人」によって締結されたものであれば、紙による契約と同様に有効であるとする、というものです。では、電子契約が「本人」によって作成されたことはどのように確認することができるのでしょうか。これが「立会人型」電子契約システムの問題として今回日本経済新聞の記事によって指摘された点です。

「立会人型」においては、立会人となるサービス提供者Cが甲社に提供したアカウントを利用して甲社の従業員Aがメールで乙社のアカウントを表示するメールアドレス宛に契約締結の連絡が行われ、Cの提供するプラットフォーム上で契約が締結されPDF化されます。成立した契約については立会人Cが電子署名を行い、契約がその後改ざん・変更されることがないことを担保します。しかし甲社の従業員Aが真実、甲社の契約について締結権限を有していたのか、乙社のBが乙社の契約締結権限を有していたのか否かについては、システム上は明らかではない、ということになります。

電子署名法第3条においても、民事訴訟法第228条第4項においても、「本人の署名又は押印」があることが文書の真正が推定される出発点になっていて、契約締結者が権限を有していたか否か、契約者本人であるかについては推定されないことになります。

 結局、電子契約を締結することによるリスクは、署名者が権限を有していたことの証明が技術的に担保されないため、最終的には、契約締結の相手方より契約が不成立であると主張される可能性があるということになります。そこで、電子契約を「立会人型」で締結する場合、技術上契約作成者の本人確認性は担保されていないことを前提に、権限者以外の者が契約を締結してしまうことのないよう社内管理体制を整えることが重要です。この点について、「リモート署名ガイドライン」の「セキュリティ対策事項」が参考になります。

本稿では図を使用して、より詳しく解説していきます。

ぜひご覧ください。

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