INDUST2021年12月号に「プラスチック資源循環促進法政省令案が公表されました」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2021年12月号に「プラスチック資源循環促進法政省令案が公表されました」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2191210/

本年令和3年4日に成立したプラスチック資源循環促進法においては、たとえば本法第3条に「主務大臣は、プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物の排出の抑制並びに及び再資源化等の促進を総合的かつ計画的に推進するための基本的な方針を定めるものとする」と規定されるように、基本的な方針のみを規定し、具体的な内容については示されていませんでしたが、政省令案が告示され具体的な内容が見えてきました。何号かにわたって本政省令案を見ていきたいと思います。


本法律はプラスチック資源循環により、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする、しています。法は、この目的を達成するため基本方針を定めるとともに、「プラスチック使用製品製造事業者等が講ずべき措置に関する指針」を定めるとしています。


本法の背景には、令和元年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」があります。この戦略では、3R+Renewableの基本原則と、2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制すること(2013年度比)、2025年までにプラスチック製容器包装及び製品のデザインをリユース又はリサイクル可能なデザインにすること、2030年までにプラスチック製容器包装の6割をリユース又はリサイクルを達成すること、2035年までに使用済プラスチックを100%リユース、または、リサイクル等により有効利用すること、2030年までにプラスチックの再生利用を倍増すること、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入することという野心的なマイルストーンを目指すべき方向性として掲げています。

では、10月8日の告示において示された「基本方針」案はどういったものなのかについて解説していきます。

⑴ プラスチックに係る資源循環の促進等の基本的方向
まず、プラスチックに係る資源循環の促進等の基本的方向として、役割分担が示されています。事業者はプラスチック使用製品設計指針に即して製品を設計し、業種や業態の実態に応じて使用の合理化のために有効な取組を選択し、廃棄物の排出を抑制し、自ら製造・販売した製品の自主回収・再資源化を率先して行い、排出事業者として産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等を実施することに努めることとされています。

消費者は使用の合理化により廃棄物の排出を抑制し、廃棄物を市町村及び事業者双方の回収ルートに適した分別をして排出し、認定プラスチック使用製品を使用することに努めることとされています。ここで注目すべきは、従来の市町村による回収に加え、「事業者による回収ルート」が規定されていることです。

国は国民の理解醸成及び協力の要請等の措置を講じるよう努めることとされています。市町村は家庭から排出される廃棄物の分別収集、再商品化その他の国の施策に準じて必要な措置を講じることとされています。ここで注目すべきは、市町村によるプラスチック使用製品廃棄物の「再商品化」が新たに規定されていることです。

また、国内のプラスチックを巡る資源及び環境の課題を解決するとともに、日本の優れた技術や環境基盤を国外に輸出し、海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題等の同時解決に貢献することや、資源循環関連産業の発展を通じた経済成長や雇用の創出を図り、新たな成長の源泉とすることを目指すとされています。

⑵プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類の工夫によるプラスチックに係る資源循環の促進等のための方策に関する事項
プラスチックに係る資源循環の促進等を円滑に実施するためには、製品の設計段階から3R+Renewableの取組が不可欠です。製造段階においては、材料についてはプラスチック以外の素材への代替、再生利用が容易な材料の使用、再生プラスチックの利用、バイオプラスチックの利用が可能かどうかを検討し、製品の構造についてはプラスチックの使用量削減、包装の簡素化、長期使用化・長寿命化、再使用が容易な部品の使用、単一素材化等、分解・分別の容易化、収集・運搬の容易化、破砕・焼却の容易化が可能か否かを検討するものとされています。

また、製造事業者以外の事業者及び消費者はプラスチック製品を使用する際、認定プラスチック製品を使用するよう努め、長期間使用することや過剰な使用を抑制することが求められています。認定プラスチック製品とは、プラスチック使用製品設計指針に適合していると主務大臣から認められた製品です。

⑶プラスチック使用製品の使用製品合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制には、消費者、事業者、国及び地方公共団体の密接な連携協力が必要とされています。消費者と事業者は薄肉化または軽量化された製品を選択し、過剰な使用を抑制する等、使用の合理化により廃棄物の排出抑制に努めることとされています。

国は率先して使用の合理化に取り組み、必要な調査研究や先進的取組の評価、普及啓発等を行うこととされています。地方公共団体は排出抑制を促進するための普及啓発、情報提供、環境教育等を行い、住民の自主的な取組を促進するための措置を講じるよう努めることとされています。

特定プラスチック使用製品提供事業者は、政令で定められた業種に属し、特定プラスチック使用製品を提供する事業者のことです。これらの事業者は、商品販売や役務提供の際に、消費者に有償で提供すること、消費者の意思を確認すること、繰り返し使用を促すことが求められています。

次回も引き続き、政省令案の内容について解説していきたいと思います。

本稿ではより詳しく解説していきます。

是非ご覧ください。

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