INDUST2017年12月号に「親子会社による一体的処理の特例(自ら処理の拡大)について」が掲載されました。

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2017年12月号に「親子会社による一体的処理の特例(自ら処理の拡大)について」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/1600129/
平成29年改正のひとつに「親子会社による一体的処理の特例」が設けられたということがあります。今回は、この親子会社の特例についてご紹介したいと思います。
この規定は、2以上の事業者がそれらの産業廃棄物の収集運搬又は処分を一体として実施しようとする場合であること、と場面の設定をしています。
次に、当該2以上の事業者が一体として処理を行うことについて管轄の都道府県知事の認定を受ける必要があります。都道府県の認定を受けるにあたっては、以下の要件をすべて満たしていることが必要です。
①当該2以上の事業者のいずれかの事業者が当該2以上の事業者のうち他のすべての事業者のうち他のすべての事業者の発行済株式の総数を保有していること
②当該2以上の事業者のうち、それらの産業廃棄物の収集運搬又は処分を行う者が、産業廃棄物の適正な収集運搬又は処分を行うことができる事業者として環境省令で定める基準に適合すること
上記①②の認定の要件にかかる環境省令の内容は以下の通りです。
❶一体的な経営を行う事業者の基準
ア 当該2以上の異業者のうち他の事業者の発行済株式総数又は出資価額の総数を保有していること
イ 以下のすべてに該当すること
ⅰ 当該2以上の事業者のうち、他の事業者の発行済株式、出資口数又は出資価額の3分の2以上を保有していること
ⅱ 当該2以上の事業者のうち他の事業者に対し、業務を執行する役員を出向させていること。
ⅲ 当該2以上の事業者のうち他の事業者は、かつて同一の事業者であって、一体的に廃棄物の処理を行ってきたこと
❷収集運搬又は処分を行う事業者の基準
ⅰ 認定グループ内の産業廃棄物処理について計画を有しており、処理を担う者の役割・責任の範囲が明確であること
ⅱ 認定グループ外の産廃処理も行う場合は、それぞれ区分して行うこと
ⅲ 認定グループ外のものに当該産業廃棄物の処理を委託する場合は、共同して委託を行うとともに、マニフェストを交付すること
ⅳ 知識及び技能を有すること
ⅴ 経理的基礎を有すること
ⅵ 欠格要件に該当しないこと
ⅶ 基準に適合する施設を有すること
近年、会社の経営の効率の観点から分社化等が行われることが増加しています。分社化とは、Xという会社が製造部門と輸送部門を有していた場合に、製造部門と輸送部門を別の会社にすることをいいます。
このように分社化するメリットとしては、①部門ごとの責任が明確になること、②これによって部門ごとの意思決定スピードが上げられること、③部門ごとの成果や収支状況が明確になること、④複数の後継者がいる場合に分社化し、それぞれの後継者に独立した会社を継がせることによって相続・後継者に関する争いを防ぐことができること、⑤分社化によって会社を小型化させ減税措置を受けられることなどが挙げられます。
X社に製造部門と輸送部門があり、製造部門から出た廃棄物を輸送部門において収集運搬することは「排出事業者が自ら行う」場合(自ら処理)であり、輸送部門が許可を取得する必要はありません。しかし製造部門と輸送部門が別の会社となると、製造会社から出る廃棄物を輸送会社が輸送する場合には、輸送会社は産業廃棄物の収集運搬業の許可を取得する必要があります。
それでは企業経営の効率性の観点から分社化したにも関わらず、分社後の連携にかえって煩雑な手続きが増えることとなり、会社の効率化という目的を達成することができません。そこで本規定は前述のような認定の要件を満たす場合には、分社後の会社を同一のものとして扱って、相互の廃棄物の処理について許可を不要としようとするものです。
本規定はまだ施行されていません。そのため要件を満たす親子会社であっても、親子会社の他方の許可のない業者に処理委託をすることは違法です。
本稿ではより詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。