INDUST2022年6月号に「不法投棄、どうなっている?」が掲載されました。

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2022年6月号に「不法投棄、どうなっている?」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2259688/
山や空き地に廃棄物を投棄する、という単純な不法投棄は、現在ではあまり見られなくなり、不法投棄を巧妙に隠そうとする事案が増えたような印象を持っています。が、不法投棄の実態はどのようになっているのでしょうか。
投棄件数は、最も多かった平成10年度の頃から比べると徐々に減り、令和2年度には10分の1近くに減っています(平成10年度は1197件、令和2年度は139件)。不法投棄の減少には、様々な要因があるといえますが不法投棄罪の厳罰化も一定の効果を上げているといえるでしょう。
興味深いのが不法投棄実行者の内訳です。令和2年度も令和元年度も、不法投棄実行者のうち最も多いのは排出事業者で、次に多いのが令和2年度は無許可業者、令和元年度は許可業者となっています。不法投棄が許可取消・欠格要件につながることを思えば、許可業者に対する不法投棄の誘因は低いといえ、統計結果は納得しうるものといえます。
一方、不法投棄量をみると、令和2年度については、「無許可業者27.2%→排出事業者22.6%→許可業者15.6%」の順になっているものの、令和元年においては、「許可業者48.1%→排出事業者38.8%→無許可業者0.6%」となっていて大きな差が見られます。つまり、不法投棄の全体量は徐々に減少傾向にありますが、不法投棄の主体は年度ごとに主体性はなく、かなり変動的といえます。
また近時の不法投棄例をご紹介したいと思います。
この事案では、A社とその役員ら3名が太陽光発電用地の造成工事中に、コンクリート製ヘリポートを解体し、その残骸約129トンを土中に埋めた行為が不法投棄にあたるかが争われました。被告人らは「暗渠(地下水路)として再利用した」と主張しましたが、裁判所はこれを退けました。裁判所の判断によれば、コンクリートがらは大きさや形が不揃いで平面状に散らばっており、掘削地点から暗渠は発見されず、行政指導後に被告会社自身が廃棄物として処理業者に委託処分していました。また本件コンクリートがらは産業廃棄物に該当し通常は有料で処理されるものであり、被告人らが主張する堤防工事の経験は小割りして粒径を揃えた方法で本件とは全く異なること、そして埋設方法は地盤強化に繋がらず工学上有意な効果がないことから、客観的に暗渠作りの目的に適う方法で埋められておらず「みだりに捨てた」と認定され、故意も否定できないと判断されました。
本稿ではより詳しく解説していきます。
是非ご覧下さい。