INDUST2022年10月号に「『感染性廃棄物処理マニュアル』が改訂されました」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2022年10月号に「『感染性廃棄物処理マニュアル』が改訂されました」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2307212/

令和4年6月「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」が改訂されました。前回の改訂は平成29年3月でしたが、令和2年3月頃に始まった新型コロナウィルス感染拡大に伴い得られた知見等を反映させるべく、5年ぶりに改定が行われました。今回は、感染性廃棄物とはどのようなもので、どのような取り扱いがされているのか、改正点はどのようなものか等をご紹介したいと思います。

感染性廃棄物とは 、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物をいいます。

では、感染性廃棄物はどのように扱われるでしょうか。感染性廃棄物は発生時点で他の廃棄物と分別して排出され、密閉性の高い専用の容器に入れて密閉し、容器ごと焼却・溶融されます。容器には、廃棄物の性状に応じたバイオハザードマークを付するものとされています。燃え殻等は埋立等の最終処分が行われますが、感染性廃棄物については最終処分が行われる前に感染性を失わせるために焼却又は溶融されなければならないとされます。

今回の改正では、新型コロナウイルス感染症に関する内容が追加されました。マニュアルには、令和2年1月に国内で感染者が確認され、同年4月以降、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態措置やまん延防止等重点措置が繰り返し実施されてきたことが記載されています。そのような状況にあっても、廃棄物の処理業者その他の廃棄物の処理に関わる事業者は、「国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者」として位置付けられ、緊急事態措置の期間であっても、十分に感染拡大防止策を講じつつ、事業を継続することが求められていると明記されました。
このことを受けて、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況下において、排出時の感染防止策、適正な処理のために講ずべき対策、処理体制の維持のためにとるべき措置等について、令和2年9月に「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」が取りまとめられたことも紹介されています。
さらに、感染性廃棄物に限らない廃棄物の排出・処理における新型コロナウイルス感染症対策については、同ガイドラインや関連通知等の内容を踏まえた必要な対策等を徹底し、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の適正な処理の確保及び廃棄物処理体制の維持を図ることの重要性が強調されています。

医療関係機関等の施設内における感染性廃棄物の処理に関しても、梱包についての注意事項がより具体的に追加されました。特に「鋭利なもの」を収納する感染性廃棄物容器は耐貫通性を有する堅牢な容器の使用を徹底することが必要であることが明記されました。
また、公衆衛生の保持及び病原体の拡散防止の徹底の観点から、感染性廃棄物の梱包にあたっては以下の点に留意することが望ましいとして、(1)感染性廃棄物は、排出したその場で容器に収納することや、容器の開口部を開放した状態で放置しないよう蓋で覆うこと等により、容器から飛散・流出しないようにすること、(2)容器の表面に血液等が付着した場合はアルコール等の消毒剤で浸した布で拭き取る等、容器表面への病原体の付着状況に留意して排出すること、が明記されました。

さらに、内容物の詰めすぎにより、容器の蓋の脱落、注射針の容器外側への突き抜け、内容物の容器の外部への飛散・流出等が生じるおそれがあるため、容器に感染性廃棄物を詰め過ぎない(容器容量の8割程度)ように注意することが明記されています。一方で、感染症の拡大時等において、処理業者から施設の処理能力がひっ迫している等の理由から排出抑制の要請があった場合等においては、容器内の感染性廃棄物量が少量の状態でむやみに排出することにより、排出される容器数が増加しないよう留意することも求められています。
以前のマニュアルでは、感染性廃棄物の梱包の方法については「内容物の詰めすぎにより、内容物が容器の外部に飛散・流出しないように注意すること」と注意を呼び掛けているにすぎませんでしたが、今回の改正ではより具体的な記述へと改められました。

その他の改正点としては、電子マニフェストの活用促進に関する記載及び災害時等にあっても事業が継続し得るよう事業継続計画の策定を要請する内容も盛り込まれました。

今回の改正は、新型コロナウイルス感染症という前例のない事態を受けて、感染性廃棄物の適正処理に関する意識を高めるとともに、より具体的かつ実践的な内容を盛り込んだものとなっています。医療関係者だけでなく、廃棄物処理業界全体にとって有用な指針となることが期待されます。私たち廃棄物処理に関わる者は、この改正マニュアルの内容を十分に理解し、適切な対応を図っていくことが求められています。

ぜひご覧ください。

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