INDUST2022年11月号に「過積載と欠格要件」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2022年11月号に「過積載と欠格要件」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2322512/

今回は、過積載とは何か、欠格要件と過積載との関係について検討したいと思います。

「過積載」とは、車両に積載をする積載物の重量が道路交通法上の制限重量を超えて積載を行った場合の当該積載のことです(道路交通法57条1項、58条の3第1項)。道路交通法上の制限重量とは、自動車検査証(車検証)に記載された重量です。そこで、結局、過積載とは、車検証に記載された重量を超えて積載を行った場合のことをいうことになります。

過積載は、道路の構造や路面を著しく損傷させたり、周辺住民に振動や騒音の公害を及ぼす可能性があります。また、走行車両の加減速が困難になったり、不安定でハンドル操作の妨げになるなど、安全面でも重大な問題が生じる可能性があるため、道路交通法上禁止されています。過積載状態で車両を走行させた場合は、「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処す」とされています(道交法118条2項)。

では、過積載を行った場合、欠格要件に該当するでしょうか。
欠格要件は大きく二つの類型に分けられます。

第一類型は廃掃法等違反に違反し罰金刑以上の有罪判決を受けた場合で、この場合には有罪判決が確定した時点で役員であった者は欠格要件に該当するとともに、欠格要件に該当する役員を擁していた法人も欠格要件に該当します。

また、第二類型である廃掃法等違反以外の犯罪の場合には、禁錮刑以上の有罪判決を受けた場合のみ欠格要件に該当します。禁錮刑とは、懲役刑と同じく刑務所に収監されることになるものの労役を免除されている刑罰のことであり、「禁錮刑以上の罪」とは、禁錮刑、懲役刑をいいます。懲役刑は、刑務所に収監され、かつ労役が課されます。

過積載は、道路交通法違反の罪であり、廃掃法等違反ではないので、第二類型にあたります。したがって、禁錮刑以上の罪で有罪判決を受けた場合のみ欠格要件に該当することになります。

では、過積載を行って犯罪になる場合とはどのような場合でしょうか。道路交通法では、過積載を行った場合、「6月未満の懲役又は10万円以下の罰金」に科される可能性があります。第二類型においては、6月未満の懲役が科された場合に欠格要件に該当することになります。

では、実際に、どのような場合に懲役刑に科されるのでしょうか。例えば①過積載を行ったことが、直接人の死傷の結果につながった(積載物を人に直撃させ、人を死亡させた)事例では、懲役刑が科されました。これに対し、②積載の事実はあったものの、過積載であったために直接人の死傷につながったわけではなく、人の死傷の直接の原因は車輪が脱輪し、被害者の車両のフロントガラスに直撃したことにある事例では、車輪の脱輪は車両の整備不良によるタイヤとホイールハブを締結するボルトの破断にありました。過積載の事実は、ボルト破断の一因になった可能性はありますが、直接の原因であるとは認定されていません。そのため、事例②では過積載の事実については罰金にとどまりました。 

過積載の事実のみでは禁錮以上の刑罰を受けることは相当稀です。ただし、過積載については刑事罰のみならず行政処分を受ける場合もあり、懲役刑等を受ける可能性が低いからといって過積載をおざなりにすることはできません。廃棄物処理業界において、適正な積載量の遵守は、コンプライアンス上の基本的事項として徹底すべきものといえるでしょう。

本稿ではより詳しく解説していきます。

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