INDUST5月号に「建築物解体の際の事前調査の報告義務が開始されました」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。

2022年5月号に「建築物解体の際の事前調査の報告義務が開始されました」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2249657/

2021年9月の第54号でアスベストに関する最高裁判決、建設アスベスト訴訟判決(令和3年5月17日)をご紹介いたしましたが、この令和4年4月1日から規制が強化されたアスベストに関する改正規定が適用されているのをご存知でしょうか。アスベストに関する従来の規定を振り返りつつ、今回の改正規定をご紹介したいと思います。

アスベストとは、非常に細い繊維で構成されている鉱物であり、一度空中に飛散すると、長時間空中に浮遊し、容易に人に吸収されやすい、という性質を有します。一方で、非常に安価で、耐久性、耐火性、耐熱性、防音性、耐摩耗性に優れた性質を有することから、建築資材等に多く使われた歴史がありました。

石綿の製品に対する使用は、平成24年(2012年)には、全面的に禁止されましたが、実は、高度経済成長期に建設された石綿含有建物の解体のピークが令和10年に込まれることも踏まえて、大気汚染防止法及び石綿障害予防規則が大きく改正されました。ここにおいて、建築物等の解体・改修工事を行う際に、作業開始前の建築物に対する石綿含有の有無の事前調査などが事業者に義務付けられましたが、必要な措置が実施されていない事例が散見されたことから、今後やってくる令和10年の石綿含有建築物解体のピークに備え、令和2年7月に石綿則が改正されました。

改正の主な点は以下の5点です。
① 解体・改修工事前の事前調査義務
② 工事開始前の労働基準監督署への届出義務
③ 吹付石綿・石綿含有保温材等の除去確認義務
④ 隔離を要する作業にかかる措置の新設(石綿含有成形板等・仕上塗材の除去工事について)
⑤ 写真等による作業の実施状況の記録の保存義務

石綿則と併せて大気汚染防止法(大防法)も改正されました。大防法においては概要として以下の4点が改正されました。
① 規制対象建材を拡大
② 事前調査の信頼性確保のための規制を整備
③ 罰則の強化
④ 作業記録の作成・保存

令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改修工事について、元請業者に対して石綿の有無にかかわらず事前調査結果の電子報告が義務化されました。事前調査義務とは、解体工事の元請業者等に対して課される義務であり、元請業者等は、工事を行う前に石綿含有建材が使用されていないか確認することが義務付けられています。令和2年改正によって調査方法が法定されました。

一定規模とは、建築物の解体:解体部分の床面積合計80㎡以上、建築物の改造・改修、工作物の解体・改修:請負金額100万円以上のことをいうとされています。事前調査報告は、石綿事前調査結果報告システムを通して行うことになります。

本稿ではアスベストの危険性が社会的に認知されるようになったきっかけの事件クボタショックや、改正点についても図を使用してより詳しく解説していきます。

是非ご覧ください。


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