INDUST6月号に「家電リサイクル法と小型家電リサイクル法 どう違う?」が掲載されました

全国産業資源循環連合会(全産連)の月刊誌『INDUST』に
芝田麻里が2017年から「産業廃棄物フロントライン」を連載しています。
2021年6月号に「家電リサイクル法と小型家電リサイクル法 どう違う?」が掲載されました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1281682499/b/2122855/
令和3年(2021年)3月1日、小型家電リサイクル法の基本方針が改定されました。まず、小型家電リサイクル法とはどのような法律でしょうか。家電リサイクル法とはどのように違うのでしょうか。また、「小型家電リサイクル法の基本方針」とは何でしょうか。本稿では小型家電リサイクル法についてイチから解説していきます。
1 小型家電リサイクル法とは
⑴ 意義と目的
小型家電リサイクル法の目的については、「第一条 この法律は、使用済小型電子機器等に利用されている金属その他の有用なものの相当部分が回収されずに廃棄されている状況に鑑み、使用済小型電子機器等の再資源化を促進するための措置を講ずることにより、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」とされています。小型家電の再資源化を行うことで、日本における最終処分場の残余年数(寿命)を伸ばし、有害物質の管理、資源採掘による環境負荷の低減を図るとされています。
⑵ 家電リサイクル法との違い
(ア)対象目的物の違い
小型家電リサイクル法における対象物は「小型家電」であるのに対して、家電リサイクル法における対象物は「家電4品目」といわれる「家電」です。家電4品目とは、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機をいいます。
(イ)目的
家電リサイクル法の目的は、「廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与すること」、小型家電リサイクル法の目的は、前述のとおり「廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与すること」にありますから、両者は目的を同じくしているということができます。
(ウ)リサイクルシステム
① 家電リサイクル法
「排出者」には、一般家庭の消費者及び「家電」を利用していた事業者が含まれます。
排出者は、市町村に回収してもらうか小売店に自ら持ち込み、もしくは引取りに来てもらって引き渡します。小売店は家電の製造業者が指定した指定引取場所へ持ち込み、製造業者は持ち込まれた家電の再商品化等の義務を負います。
また小売店が家電を収集運搬する場合、許可は不要となります。
② 小型家電リサイクル法
市町村に回収された携帯電話、パソコン等の小型家電は、認定を受けた認定事業者によって認定を受けた中間処理施設に収集運搬されます。その後、当該中間処理施設で中間処理を経た後、金属の製錬業者等に運ばれ、再生利用されることになります。小型家電リサイクル法のシステムでは、認定事業者によるより広域的な回収が予定されているといえます。認定を受けた事業者については、収集運搬及び中間処理について廃棄物処理の許可は不要です。
2 小型家電リサイクル法の基本方針の変更
⑴ 使用済小型電子機器等の再資源化を実施すべき量に関する目標
使用済小型電子機器等の再資源化を実施すべき量に関して、平成30年までに一年当たり14万トンを目標にしていましたが、これを「令和5年度までに」とあらためました。再資源化がなかなか進まない現状を鑑み、目標達成を据え置いたものです。
⑵ 使用済小型電子機器等の再資源化の促進のための措置に関する事項のうち地方公共団体の取組に関して
「市町村は、住民の意識向上を図るため、住民に対して適切な分別方法や回収拠点の場所等について周知を行う必要がある。」として「回収について周知すべき内容が具体化されました。また、「回収の促進を図るため、認定事業者や小売業者と連携し、住民が簡便に使用済小型電子機器等を排出できる環境を整えるよう、回収拠点の設置数について設置の場所などに配慮しつつ計画的に拡大を図るとともに、地域特性に応じて最適な回収の方法を選択することが必要である。」とする点が追加されました。
⑶ 小売業者の取組
これまで小売業者に対しては、回収に対して協力することが要請されているのみでしたが、「回収及び消費者への適正な排出方法の周知に協力することが期待される」とされ、「自ら輸入した小型電子機器等の販売を行う場合は、消費者に対し、小型電子機器等についてリチウム蓄電池を使用しているかどうか判別できるように、リチウム蓄電池の使用の有無を判断するために必要となる情報の提供に努めることが期待される」とされました。
⑷ 製造業者に関して
製造業者に対しても新たに、「消費者に対し、小型電子機器等についてリチウム蓄電池を使用しているかどうか判別できるように、リチウム蓄電 池の使用の有無を判断するために必要となる情報の提供に努める必要がある。」という点が追加されました。
⑸ 認定事業者に関して
認定事業者に対しては新たに、「回収方法の多様化、回収拠点等の拡大による消費者が排出しやすい回収体制や、リチウム蓄電池等を安全に処理できる体制の構築を図」ることが要請されました。
本稿ではより詳しく解説していきます。
是非ご覧ください。