「環境新聞」に弊所顧問弁護士芝田稔秋執筆『産廃と私~弁護士50余年の歩み~【第5期:2000年から現在まで(平成12年以降)】⑥』が掲載されました

環境新聞にて、令和6年1月17日より隔週連載されております、
弊所顧問弁護士芝田稔秋執筆『産廃と私~弁護士50余年の歩み~』が掲載されました。
芝田稔秋が弁護士になるまで、そして、弁護士として50年以上廃棄物処理法に
携わってきた半生を、1年間に亘って連載されます。
この度、「第5期:2000年から現在まで(平成12年以降)」の
第6回最終稿が掲載されましたのでご紹介いたします。
第5期第6回(令和6年12月18日掲載)
「海洋汚染の防止は世界の悲願」
世界のすべての海が、ごみのない綺麗な浜辺、汚染のない美しい海であってほしい。
1.海洋の規模
海洋は、地球の表面積の70.8%を占める。面積は3億6千万平方㌔㍍。海には、13.7億立方㌔㍍の海水がある。地球表面の凹凸をきれいに均すと、陸地は全く姿を消してしまい、海が地球の表面を2700㍍の暑さで覆い隠してしまうという。
この広大な海のおかげで、地球に一定の環境が保たれ、莫大な数の動物や植物が生存できるわけである。
2.海洋汚染の原因と態様
ところが、この広大な海洋がいろいろな原因で汚染される。
海洋汚染の態様としては、外環状の物理的な汚染と、海水の質的・科学的汚染の二つをあげることができる。
⑴海洋の汚染の原因
海洋の汚染の原因は、自然の摂理と人為との二つがある。
陸上で発生した物は、廃棄物であれ何であれ、すべての物が川を通じて海に流れ込む。山の木も土石も農作物も、自然の雨で、常時流されているほか、大雨の濁流によって海に流れ込む。自然の摂理である。
もう一つは、故意か過ちで、人が海に物を捨てるからである。現在では、人為的な原因による汚染がはるかに多い。海のレジャーにおける不法投棄もある。
⑵外観上の物理的な汚染
外観上の物理的な汚染は、海洋ごみの漂流・漂着などであり、ごみを除去すれば、海水自体は綺麗になる理屈である。
【海洋ごみの形態】としては、「海面漂流(浮遊)ごみ」、「海中漂流ごみ」、「海岸漂流ごみ」、「海底堆積ごみ」などがある。海岸漂着ごみは海洋ごみのほんの一部(5%)にすぎず、残りの95%は海面・海中に漂流しているといわれる。また海洋の汚染は、太平洋から大西洋はもちろん、日本海、インド洋、地中海、北極海や南極海まで、世界の海洋すべてに及んでいる。
【海洋ごみの種類】としては、塵芥類、プラごみ類、紙類が全体の8割を占めるという。さらに、人の日常生活用品に由来するごみも多く、ポリエチレン製のレジ袋、お菓子や食品のレジ袋、ペットボトルや食品の包装容器、カップ麵容器、発泡スチロールバッグや靴など、多種多様のごみがある。最も多いのがプラごみで、その中でも多いのが使い捨て用に作られた「容器包装用等」のプラ製品である。
特に【プラごみの永続性】が困る。
プラごみは分解されず、永久に残るから始末が悪い。WWFジャパンによると、海洋ごみが完全に自然分解されるまでに要する年数は、レジ袋は20年、ペットボトルは400年、釣り糸は600年だという。要するに、海洋に放出されてしまうと、プラごみは永久に残るということである。
⑶海水の質的・科学的汚染
海水の質的・科学的汚染としては、外観上はごみがないのに、有害物質など、目には見えない微細な物質が海水に溶けている状態である。有機水銀、PCB、殺虫剤などの有害物質がある。これらの物質が川を通じて海洋に流入するのは、下水道の未整備のほか、工場廃液の処理や農薬の管理などが不十分なためである。
この水質汚染は、外環状の汚れが見えないために、危険が潜んでいるのがわからないので困る。水俣病やイタイイタイ病などの公害は、まさにこの科学的水質汚染による被害であった。
なお水質汚染の被害の例に、「磯焼け」といって、海の岩に海藻が生えなくなる現象がある。これは海の生物の産卵場所の減少となり、海の生態系に深刻な影響を及ぼすもので、早々に解決してもらいたい。私のふるさと奄美の海岸にも「磯焼け」が多くみられる。
3.海洋ごみによる海の動物の被害
海洋漂流ごみの長大な例として、「ゴーストネット」と呼ばれるものがある。
例えば「定置網」である。定置網は周囲数百㍍にもおよぶ大きな漁網であるが、通常プラスチック製で、この漁網が嵐や船外機のスクリューなどで切れて漂流すると、分解されることなく何百年もの間漂流し続け、これに絡まると、鯨やイルカやウミガメなどが死ぬという恐ろしいものである。
4.世界が共同して海洋汚染を防止すること
海は世界中で汚染されている。特にプラごみによる汚染がひどい。世界の海はつながっているから、どこかの国で捨てられたごみがどこかの国に流れていき、よその国の海を汚してしまう。そのため、海洋汚染は世界が共同して防止しなければならない。
そのため、世界が共通の条約を締結して守っていく必要がある。
⑴ロンドン条約の加盟、海洋汚染防止法
ロンドン条約とは、「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」の通称で、陸上で発生した廃棄物を沖合で廃棄処分するについて規制する条約である。世界のできるだけ多くの国がこの条約に加盟し、履行しなければならない。
日本は、このロンドン条約に加盟し、その義務を履行するため国内法として、海洋汚染防止法(海防法)を作っている。そしてロンドン条約の1996年議定書を批准して国内法規を整備した。2002年の廃棄物処理法施行令の改正と2007年までの猶予期間の終了により、海洋投入は原則として廃止された。
原則では、海洋の浚渫土砂など、ごく限られたものだけが海洋投入を認められている。
⑵マルポール条約の加盟、海洋汚染防止法
また国際社会は、マルポール条約を作った。マルポール条約は、航海中の船舶の中で発生した廃棄物を海に廃棄処分するのを規制する条約である。日本はマルポール条約にも加盟し、海防法が国内法となっている。
5.両先生への感謝
今回をもって私の連載は完結する。完走に当たって、1年もの長い間、ご愛読くださった読者の皆さんに感謝するとともに、環境新聞に連載の機会を作ってくださった北村喜宣教授と佐藤泉弁護士に心からお礼を申し上げます。
特に北村先生は、毎回、私の原稿を真っ赤に添削してくださいました。私の原稿には誤りが沢山ありましたが、おかげさまで、大変助かりました。また、環境新聞社の編集部次長の黒岩修氏にも編集で大変お世話になりました。
先生方や読者の皆様に厚く御礼申し上げます。有難うございました。(おわり)