労災が欠格要件?!労災には気を付けて!(エバーグリーン事件)
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もちろん、気を付けていらっしゃると思います。
しかしながら、労災によって会社が刑事責任を問われたり
欠格要件に該当する場合があることをご存知でしょうか。
今回は、労災と会社の責任についてご紹介したいと思います。
会社は、「従業員を安全な環境で業務に従事させる義務」を負っています。
これを安全配慮義務といいます。
安全配慮義務については、法律上明文の規定はありませんが、
判例上、雇用契約を締結した使用者の責任として
従業員に対して安全配慮義務を負っているとされています。
つまり、安全配慮義務は、雇用契約上の使用者の義務ということになります。
そこで、従業員に労災が発生した場合、
会社が安全配慮義務を尽くしていたかが問題となります。
エバーグリーン事件
事故状況
H25年(2013年)11月15日、千葉県野田市の廃油精製工場で爆発事故が発生。
従業員2人が死亡、13名が負傷。
爆発現場から数十メートル離れた別の会社の工場を全壊させ、
同社の従業員3名も負傷させた、という事件が発生しました。
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廃油蒸留処理の工程である不純物を取り除くマイクロセパレーター(遠心分離機)より
白煙があがっているのを従業員が視認し、
緊急停止処理の手順をとっていたところ爆発が発生したというものです。
事故原因
エバーグリーン社は、普段ガソリンスタンドや自動車整備工場などから
エンジンオイルなどの廃油を回収しているが、
多量のガソリンと軽油の混合物である廃油を誤って回収し、
同廃油を廃油蒸留施設に投入した結果、その加熱工程で揮発濃度が高まり爆発
したものとされています。
回収の際、あるいは、廃油蒸留処理施設に投入する際に、
事故は防げなかったのでしょうか。
この点、取引先から7700リットルの廃油の回収依頼があり、
従業員2名が回収に向かったところ、
2名はガソリンのような臭いに気が付いたものの、
社内マニュアルが定めたサンプル調査を行わず、
そのまま持ち帰ってしまったため、
回収の際のリスクヘッジができなったということです。
だた、おそらく、会社に持ち返った際、
一時保管する場所があると思いますが
保管庫でのチェックはできなかったのでしょうか❓
では、その後、回収した後、廃油蒸留施設に投入する前は❓
といくつも疑問が生じます。
会社の責任
前述のように、会社には、雇用契約上、会社の従業員に対して、
「従業員を安全な環境で業務に従事させる義務」があります。
社内マニュアルがあっても、従業員がそれを守っていない状況、
しかも、廃油蒸留施設に投入する前に、軽油が混入していたことに気が付き
事故を防げたと思われる機会があるにもかかわらず、
気が付かずに事故が発生してしまっていること、
これらの状況からは、
会社として、安全に業務を従事させるための環境が整えられていなかった
といわざるを得ません。
本件について、
当時の役員に対して業務上過失致死傷で懲役罪で懲役3年(執行猶予あり)
当時の支店長に対して業務上過失致傷罪と労働安全衛生法違反で
懲役2年6カ月(執行猶予あり)
会社に対しては労働安全衛生法違反で50万円の罰金
が科されました(千葉地裁松戸支部H27.12.21)。
役員に懲役刑の判決が出された場合、
役員のみならず会社も欠格要件に該当します。
本件では、役員が速やかに辞任していたことによって、
会社の欠格要件該当による許可取消を免れることができました。
また、会社に対しては、90日間の事業停止処分が出されています。