「両罰規定」で会社が巻き込まれないために
「両罰規定」ってご存知でしょうか。
「両罰規定」とは、何らかの犯罪が発生した場合に、
その犯罪を犯してしまった人(実行した人)と
会社を両方処罰する、という規定です。
たとえば、会社の業務時間中に、ドライバーが不法投棄をしたとします。
そうすると、そのドライバーについては不法投棄の実行犯として
不法投棄の罪が成立します。
では、会社についてはどうでしょうか。
もし、そのドライバーが、会社の指示に基づいて不法投棄を行っていたとすれば
会社も処罰するべきだと思われると思います。
このとき、「両罰規定」という規定があれば、
会社も両罰規定によって処罰されます。
そして、会社は不法投棄の両罰規定によって処罰されれば
当然のことながら廃棄物処理法(廃掃法)上の欠格要件に該当し、
会社の許可が取り消されることになります。
一方、会社の業務時間中の行為とはいえ、そのドライバーが自己の判断で
行ったことで、会社が無関係であるとすれば、
「業務に関して」不法投棄をしたものではない、ということになって
会社は処罰を免れることができます。
今回、不法投棄を例にあげましたが、両罰規定によって会社に
犯罪が成立するのは、不法投棄だけではありません。
以下の法律違反によっても会社が処罰の対象となります。
会社が両罰規定によって巻き込まれないために
では、会社は、両罰規定によって従業員が行った違法行為に巻き込まれないためには
どうしたらいいでしょうか。
まず、社員教育
まず、社員教育が必要です。
どのような行為が廃棄物処理法違反になるのか、
そして、廃棄物処理法に抵触する行為をしてしまった場合には
(抵触したかどうかの判断が難しい場合も含めて)
会社に報告することとするシステムを作っておくことが必要です。
従業員に違法行為があった場合に、従業員自ら会社に報告させるようにすることは
難しいと感じられることもあるかと思います。
ただ、違法行為を会社が知らないままだと対策を立てられないために
会社が両罰規定により処罰を受けてしまいかねません。
そうすれば、会社の許可は取消となり、従業員の方も職を失ってしまう
ことになりかねません。
従業員の方に廃棄物処理法の仕組みをよく理解いただき、
何らかの違法行為をしてしまったかな…と悩んだときは、
直ちに、上司の方に報告するように周知しておく必要があります。
どのような社員教育をすべきかは、業種により異なりますので
ご相談ください。
社員教育の記録を取っておくこと
次に、社員教育を行ったら、その社員教育の記録をしておくことです。
これによって何か問題が生じたときに、会社はきちんと社員教育を行って
会社として何が廃棄物処理法違反であるかを周知し、
廃棄物処理法に違反する行為を行わないように指導していたことを
説明することができます。
すなわち、従業員が行った廃棄物処理法違反行為は、
会社の指導のもとに行ったのではないことを証明する
重要な材料になります。