遺品整理って違法なの?
もちろん事業として「遺品整理を行うこと」は違法ではありません。
「遺品整理」をした結果、出た廃棄物を
遺品整理を行った事業者が運ぶことは「違法」になる場合があります。
「遺品整理」の結果、出されたモノは「一般廃棄物」
どういうことでしょうか。
遺品整理を業者に頼んで遺品整理をした結果、
ご遺族にとって不要な物が出たとします。
これは、家庭から出た廃棄物であり「一般廃棄物」にあたります。
したがって、一般廃棄物の収集運搬の許可なく運ぶことは違法になります
(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又は併科)。
「遺品整理事業」から出るから「産業廃棄物」?
ところが、遺品整理事業者が、「遺品整理事業の結果、出た廃棄物だから産業廃棄物」
として運ぶ場合があります。
これは適法でしょうか。
違法です。
家庭から出た廃棄物は、「家庭系一般廃棄物」であり、
遺品整理事業を行った結果、出された廃棄物であっても「家庭系一般廃棄物」
であることに変わりはありません。
一括して買い取るから「有価物」?
また、遺品整理事業者が、ご遺族にとっ不要なものであっても
一括して「買取り」をした結果、有価物として運ぶので、許可不要、
と説明される場合があります。
すなわち、値がつかないモノもあるけれども、値が付くモノもあるので
事業者がこれを一括して買い取って、差額を費用としていただきます、と。
事業者は、一括して買い取って、自社まで運んでから
売れないものと売れるものを選別して、
売れないものは、自社が排出事業者となって処理する、というわけです。
ご家庭にとっては、一括して買い取ってもらって、
値がつかない分の差額は廃棄物処理費用として請求してもらった方が
ラクですよね。
ゴミ出しの曜日とか、時間とかを気にしてゴミを出すのは大変です。
では、このような方法は適法でしょうか。
違法です。
ご遺族にとって不要なモノであっても、真に「有価物」として
買い取るのであれば、その有価物だけであれば許可なく運ぶことができますが、
「有価物」以外の物、すなわち、
「売れないモノ」「値がつかないモノ」については、
その場で、すなわち、ご家庭の玄関で、「廃棄物」として選別し
有価物と分けて扱わなければなりません。
「一括して買い取って有価物として運ぶ」ことは認められていません。
遺品整理業者は、有価物は自社で運んで問題ありませんが、
「値がつかない」廃棄物については、ご家庭の玄関より先に運ぶことは違法になります。
廃棄物は、ゴミの日にゴミの集積所に出すか、
一般廃棄物の収集運搬の許可を有する業者に引き渡す必要があります。
実態と法律の乖離
遺品整理に伴う廃棄物についての処理は、
需要と供給が間に合っておらず、
すなわち、遺品整理の需要は多いにもかかわらず
一般廃棄物業者は遺品整理廃棄物にまで手が回らないと指摘されています。
その結果、遺品整理廃棄物については、
上記のように「産業廃棄物」として遺品整理事業者が運んでいったり、
「一括して買い取った」遺品整理事業者が
「有価物」として運んだりする状況が多くみられます。
これは、実態と法律に乖離が生じている状況であるといえます。
この乖離した状況を解決するために、
❶ 遺品整理に限定して一般廃棄物の許可を与える(条件付き許可)
❷ 自治体が当該業者に遺品整理を委託する(廃棄物処理法規則第2条第1号)
などの方法が考えられます。
福岡県など自治体によっては❶の対応をしている自治体もあり注目されます
(遺品整理ごみ限定許可制度 | 福岡100 (fukuoka.lg.jp))。