「専ら物」に関する令和5年2月3日通知
「専ら物」の意義
「専ら物」(もっぱらぶつ)をご存知でしょうか。
ご存知な方は相当、廃棄物処理法(廃掃法)に詳しい方です。
「専ら物」とは、「専ら再生利用の目的となる一般廃棄物」、
または、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」のことをいいます。
つまり、「専ら再生利用をすることを目的としている廃棄物」
のことをいいます。
そして、「専ら再生利用の目的となる一般廃棄物/産業廃棄物」とは
の4品目であることが昭和46年10月16日付 環整第43号
「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて」(通知)
によって定められています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について | 法令・告示・通達 | 環境省 (env.go.jp)
そこで、この4品目を処理する場合には、
廃棄物処理法上の許可は不要、ということになります。
この4種類の廃棄物を「専ら4品目」といいます。
環整第43号通知の適用範囲
この通知は、昭和46年に発出されていることからも分かるとおり、
廃棄物処理法が施行された年に発出されたものでした。
「専ら4品目」を扱う業者には零細な業者が多く、
従来、「専ら4品目」を扱ってきた業者に
廃棄物処理法上の許可を要するとするのは、
過大な負担を課すものと思われたため、
「専ら4品目」のみを扱う業者については、
許可不要とされたのでした。
もっとも、この通知、あるいは「専ら4品目」の取扱いについては
自治体によって取扱いが異なり、混乱の原因となっていました。
すなわち、ある自治体では、この通知を狭義に解し、
「専ら4品目」以外の廃棄物を取り扱う事業者については
この通知の適用はないものとし(狭義説)、
「専ら4品目」についても廃棄物処理法上の許可を要する、
としていました。
一方、広く解する自治体は
「専ら4品目」以外の廃棄物を取り扱う事業者であっても
「専ら4品目」については許可不要とするものでした(広義説)。
この立場の違いは、「専ら4品目」以外の廃棄物を取り扱っている
事業者が「専ら4品目」を無許可で取り扱っていた場合に生じます。
すなわち、狭義説から考えた場合、「専ら4品目」以外の廃棄物を
取り扱っている事業者は、「専ら4品目」であっても廃棄物処理法上の
許可を取得しなければなりませんから、
「専ら4品目」について廃棄物処理法上の許可なく取り扱っていた場合には
「専ら4品目」について無許可で取り扱っていたと判断される可能性があります。
これらの考え方の違いは、現場に混乱をもたらし、また、
「専ら物」の取扱いについて狭義に解する自治体と
広義に解する自治体との間で取扱いについて
自治体間で不平等が生じるおそれがありました。
そんな状況において、令和5年2月3日に「専ら物」の取扱いについて
通知が出されました。
令和5年2月3日「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)環循適発第2302031号
本通知は、
「「専ら物」について処理業の許可を要しないことは、
専ら再生利用の目的となる廃棄物以外の廃棄物の処分等を
主たる業として行っている者であっても同様であり、
専ら再生利用の目的となる廃棄物の処分等については、
廃棄物処理業の許可は要しない。」
としました。
000110199.pdf (env.go.jp)
つまり、「専ら物」の他に廃棄物の処理を行っている事業者であっても
「専ら物」については、許可を不要としたもので、
従来の考え方でいえば「広義説」の立場をとったといえます。
本通知は、さらに
「法に定められた規制を越える要綱等による運用については、
必要な見直しを行うことにより適切に対応されたい旨、
…周知しているが、
専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについても
上記の法の内容を踏まえ、適切な運用に努められたい。」
としています。
従来の専ら物に関して狭義に解する立場から
事業者を不利に取り扱わないよう念を押しているといえます。
「専ら物」に関する留意点はこちら↓
「専ら物」に廃棄物処理委託契約書はいらない?(「専ら物」に関する留意点) | 廃棄物処理法とともに50年 | 弁護士法人 芝田総合法律事務所 (shibatalaw-ginza.jp)